医師が得する"お金"のハナシ

海外の医師の年収はいくら? 診療科別の年収を国際比較!

医師の給与水準を診療科別で比較・ランク付けし、診療科目と年収額の関係について考えた、「平均年収の高い診療科はここだ!」(https://epilogi.dr-10.com/articles/420/)という記事を過去にご紹介しました。これまでにエピロギがお届けしてきた記事のなかで、最も多くの人に閲覧いただいている人気記事なので、「まだ読んでいない」「覚えていない」という方は、ぜひご覧ください。
今回は、診療科別の平均年収というテーマに別角度からメスを入れ、日本・アメリカ・中国の3カ国の比較を試みます。それぞれの国にどんな違いがあるのか、さっそく見ていきましょう。

ランキングで比較! 日米中3カ国の診療科別 平均年収

以下の表は、日米中3カ国の、診療科別の平均年収をランキング化したものです。各国の上位15科目を掲載しています。

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  • ・アメリカと中国では、ともに「心臓外科」がトップ
  • ・日本では高齢者向けの診断機会が多い診療科が上位にランクイン
  • ・アメリカでは外科医に対する評価の高さが年収の大きさに比例
  • ・中国では訴訟リスクの高い診療科が上位にランクインする傾向あり
  • ・需要の高い精神科の順位が、日本では上位だがアメリカでは下位

外科系の科目は高度な医療技術が必要になるため、一般的に給与額が大きいといわれています。その例に漏れず、アメリカと中国では「循環器外科」と「心臓胸部外科」(いずれも「心臓外科」の役割)がそれぞれ第1位となりました。
中国では民間の専門病院が急速に増えていますが、そのほとんどが「婦人科」「性病科」「眼科」「漢方医学科」「咽喉科」「整骨科」といった低リスクの科目を標榜しています。高いスキルを持つだけでなく、高いリスクを背負っているという点も、心臓胸部外科医が第1位となった理由かもしれません。

これに対して日本では、9位に「一般外科」がランクインするまで外科系の診療科目がありません。その代わり、1位に「在宅医療」、7位に外科系の科目を差し置いて「老年内科」が入っています。現在の日本では、外科医よりも高齢者を診る医師のほうが求められているということでしょうか。
日本の場合、医師の給与水準は年齢に左右される傾向があります。外科医として長く勤務する(年収が大きくなる年齢まで働く)医師が相対的に少なく、年齢を重ねてから内科に転科するケースも珍しくないため、内科が上位にランクインしている可能性もあります。

年齢による年収差に着目すると、日本とアメリカの、医師に対する評価の違いが見えてきます。第2位と第3位の年収に大きな差があることからもわかるように、アメリカでは外科医が非常に高く買われています。高度なスキルを持つ医師を評価し、実際の年収額に反映させる点は、年功序列的な慣習が浸透している日本との大きな違いでしょう。

2015年12月からストレスチェック制度が義務化されるなど、日本ではメンタルヘルスケアの重要性が強く叫ばれています。ランキングを見ても、日本の精神科は第4位と上位です。
近年はアメリカでも精神科医の需要が増加しているそうですが、人手が足りていないのが現状。これは「人材不足なのに年収が低い」のではなく、「年収が低いから人材不足」という事実があるようです。上述した医師に対する評価の違いがシビアに現れた結果かもしれません。
ちなみに、中国における精神科の平均年収は第23位でランク外となりました。

 

医師の年収はホントに高額? 各国の国民平均との差はこれくらい!

ランキングで示したアメリカと中国の年収は、単純に日本円に換算したものなので、金額を比較してもあまり意味がありませんし、これだけを見てもピンと来ないはずです。ここでは、各国の医師の年収がそれぞれの国の感覚で「どのくらい高額なのか」について考えていきます。

冒頭でも述べたように、日本の場合、勤務医の平均年収は1,200万円前後で推移しており、一般的に高収入な職業とされています。ちなみに、国税庁の「平成25年分 民間給与実態統計調査」(http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2013/minkan.htm)によると、日本人の平均年収は約414万円という結果が出ています。

アメリカでも、医師は日本と同じように高給取りとして知られていますが、支給される給与は日本の医師よりもはるかに高額です。診療科目による違いはありますが、少なくとも2,000万円以上、専門医ともなるとその額は5,000万円以上にものぼります。米国国勢調査局が公表している「Current Population Survey」の「Selected Characteristics of People 15 Years Old and Over, by Total Money Income in 2013, Work Experience in 2013, Race, Hispanic Origin, and Sex」(http://www.census.gov/hhes/www/cpstables/032014/perinc/pinc01R_000.htm)によると、アメリカ国民(15歳以上)の平均年収は約510万円(年収の中央値は約333万円)でした(アメリカは所得格差が非常に大きいため、実情に即すといわれる中央値も記載)。医師の平均年収を2,000万円と少なく見積もっても、国民平均の4倍近い額であることがわかります。

中国においても、一般的に医師の年収は高額であるといえます。しかし、その仕事内容に見合った年収であるかどうかは疑問です。中国の医療情報サイト、丁香園フォーラムが発表した「2012~2013年度中国医師薪酬調査報告書」では、医師の平均年収が約128万円という結果になりました。一方、中国国民全体の平均は約55万円(出所:中国メディア、参考消息網の記事「中国31省份人均收入排行公布 上海力压北京居首」(http://www.cankaoxiaoxi.com/finance/20150227/682109.shtml)。中国の医師の年収は国民全体平均のおよそ2.3倍と、たしかに大きな違いはありますが、日本やアメリカほど大きな差ではありません。その証拠に「2012~2013年度中国医師薪酬調査報告書」では、約90%の医師が自らの給与に不満を持っているというデータが示されています。

ただし、公表されている中国の医師の平均年収が、必ずしも正確であるとはいえません。
中国の医療業界では、医薬品メーカーや医療機器メーカーによる、医師への不透明なリベートの支払いといった汚職が少なからず発生しています。また、通常の治療費にプラスして、患者が医師に金銭(「紅包」と呼ばれている)を渡す現象も常態化しています。
さらに、貧困地域において無免許で医療行為を行う「村医」という存在も考慮すると、ランキングで示した具体的な金額は、あくまで目安とする必要がありそうです。

(文・エピロギ編集部)

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