「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

〈悩み〉と〈不安〉の捨て方は、分別ゴミと同じ! 大変な毎日を無理なく変える、すこし意外な人生のヒント

『「どうせ私は」を、やめてみる。』 井上 裕之・著 日本経済新聞出版社
1512円 2015/1/24

多くの人は、挫折を乗り越え、我慢を重ねて、努力を続け、目標に到達できてこそ幸せになれると考えます。でも本音では、つらい毎日は避けたいし、現在も将来も幸せに暮らしたいはずです。本書は、そんな欲張りな生き方を現実にするための方法を示唆します。

内容詳細

不幸を引き寄せてしまう考え方とは

 「苦しみがあったから成功を手に入れた」というストーリーが、多くの成功哲学で語られているが、苦労や挫折が、成功や幸せの「絶対条件」であると考えるのは危険だ。なぜなら、「つらい思いをしなければ、幸せにはなれない」と思ってしまうからで、これは不幸を引き寄せる考え方とも言える。
 発明王として広く知られるエジソンは失敗についてこんな名言を遺している。「私は失敗なんかしていない。うまくいかない方法を1万通り見つけただけだ」
 成功のために必要なのは、苦労や挫折の経験そのものではなく、どんなことからも喜びや楽しみを見いだす想像力や、すべてを学びとして次のステップに進んでいく、たくましさなのではないか。
 そうした力を発揮するためにもまずは、「苦痛に耐えなければ幸せにはなれない」という考え方を捨てることが大切だ。

 

悩みを「分別」する2つの箱

 悩みや不安を解消するには、自分が置かれている状況を客観的に見るために、頭の中に「どうにもならない」と「どうにかなる」の「2つの箱」を用意し、悩みや不安を「分別」することである。「どうにもならない」に分別されたら、これも「運命」だと思って捨ててしまう。一方の「どうにかなる」は、自分でなんとかするという覚悟を持つことだ。
 ときに、その分別が、世間の「常識」に影響を受けすぎていることがある。たとえば、「身長が167センチしかないけれど、NBAの選手になりたい」という悩みを「どうにもならない」箱にすんなり入れてしまう。しかし、NBAにも、身長160センチで活躍した選手はいるのだ。
 本当の「大人の分別」とは、実現が可能な望みを簡単に諦めないように見きわめることである。さらに、「かなえられない希望への諦め」などは、すこし考え方を変えるだけで、「どうにかなる」と判断できるようになり、夢の種に変換することもできるのだ。

 

成長を妨げる「どうせ私は」

 「どうせ、私は」という言葉には、人生を投げてしまっている響きがある。このような考え方は、自分から不幸を引き寄せているようなものなので、この言葉をやめるのが幸せへの第一歩だろう。
 必要以上に自分を否定したり、責めたりしないということは、人間が成長するための前提である。自分は価値のある人間だと認めている人が、人一倍努力したり、挑戦したりできるのである。人間は生涯「未熟」だからこそ、一生をかけて成長しつづける。そして、自分というものが、死ぬまで完成されないという真実の中に本当の希望も持てるのだ。
 井上裕之氏にとっても、人生における関心事は、正しい方向に自分が成長できているかという、ただその一点であると言う。そして、少しでも成長をしていると実感できることが、「幸せ」の感情の源になっている。
 自分の未熟さを認め、その未熟さに「まだまだ成長できる」という価値を見いだすことが、自信を持つための最初の一歩なのかもしれない。

 

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 1. ほんとうは不幸が大好きな私たち
  2. 2. 悩みと不安は、分別ゴミと同じだ
  3. 3. ミッションは、そもそもベタでいい
  4. 4. 行動するヒントは、歯磨きにある
  5. 5. 人生は、すべてが手に入るようにできている

◎著者プロフィール

井上裕之
歯科医師、メンタルセラピスト。1963年北海道生まれ。東京歯科大学大学院修了、同大学歯学博士。いのうえ歯科医院理事長(北海道・帯広)。臨床教授を務める島根大学医学部のほか、国内外の大学で講師として教鞭をとる。6万人以上のカウンセリング経験、患者との細やかな対話を重視した豊富な治療経験を活かし、講演、執筆など多彩に活躍。著書は『自分で奇跡を起こす方法』『がんばり屋さんのための、心の整理術』など多数。

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