「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

「平凡な人」を「非凡な人」に変える。人生において価値あるものを手に入れる法。

『働き方』-「なぜ働くのか」「いかに働くのか」 稲盛 和夫・著 三笠書房
 2009/4/1

日本を代表する企業人の一人である稲盛和夫氏。その多数の著書で述べられた人生観を「働き方」というテーマで説いたのが本書です。平易な言葉で仕事観、「働くこと」の価値、人生を豊かにするためにはどのように働けばよいか、など珠玉のメッセージが満載。

内容詳細

日本を代表する企業人の仕事観

 京セラ、KDDIの創業者であり、その後、巨額の負債を抱え会社更生法が適用された日本航空(JAL)の会長に就任し、同社を「奇跡のV字回復」に導いた稲盛和夫氏。自ら設立した稲盛財団や、塾長を務める経営塾「盛和塾」を通して、後進の育成にも力を注いできた。
 その稲盛氏が、ベストセラーとなった『生き方』をはじめとする数多くの啓発書で述べてきた人生観を「働き方」というテーマに沿って平易に説いたのが本書である。同氏がこれまで「企業人」として生きてきた中で確立した「仕事観」や「働くこと」の価値、どうやって「働く」ことで、人生を豊かにすることができるのか、というメッセージが満載されている。
 この、日本を代表する企業人は、「アメーバ経営」など斬新で有効な経営手法を編み出したことでも知られる。しかし、その根本にある「働くこと」への考え方は、「愚直に、ひたすら前向きに努力すること」であることがわかる。

 

自らを高めるために働く

 多忙をきわめたり、思うようにことが運ばない、仕事上あるいは理不尽な仕打ちを受けるなど心が乱された時、ふと「自分はどうして働いているんだろう?」という根本的な疑問に苛まれることが誰しもあるのではないだろうか。
 稲盛氏は、仕事をする目的について「人間は、自らを高めるために働く」と明確に言い切っている。金銭欲でも出世欲でもなく、ただ人間性を鍛え、心を磨くために働く、というのが稲盛氏の基本的な考え方だ。会社などで皆が「自分を磨く」ために仕事をするようになれば、むやみな争いや足の引っ張り合いはなくなることだろう。
 また稲盛氏は、働く人を「可燃性」「不燃性」「自燃性」に分類している。「可燃性」は火をつければ燃え上がる。「自燃性」は外から刺激を与えなくても自ら「燃える」。成功するのは「自燃性」の人だという。どんなに不運な、あるいは理不尽な目にあっても自燃性であれば、すぐにまた燃え上がることができるはずだ。

 

仕事とは「考え方×熱意×能力」

 稲盛氏の仕事観、人生観は、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という方程式で表されるという。かけ算の対象となる三つのうち「能力」は、知能や運動神経、健康といった自分でコントロールできる要素の少ないものだ。したがって稲盛氏は、「熱意」「考え方」を重視する。
 「熱意」はいくらでも自分で燃え上がらせることができる。逆に熱意がゼロであれば、いくら能力が高くても、かけ算なので結果もゼロになる。さらに「考え方」については、「マイナス」もありうるのだという。少しでもマイナスの考え方をすれば、結果もマイナスになるということだ。
 本書に書かれている稲盛氏の考え方は、きわめて真っ直ぐであり、奇をてらったものはほとんどない。人によって「古くさい」と感じるかもしれない。だが、だからこそ混迷の時代に基本に立ち返るために必要な考え方なのではないか。本書が出版された後のJAL再生劇を見ても、そのことは痛感させられる。

 

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 1. 「心を高める」ために働く
  2. 2. 「仕事を好きになる」ように働く
  3. 3. 「高い目標」を掲げて働く
  4. 4. 今日1日を「一生懸命」に働く
  5. 5. 「完璧主義」で働く
  6. 6. 「創造的」に働く

◎著者プロフィール

稲盛和夫
1932年生まれ。鹿児島大学工学部卒業。1959年、京都セラミック株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、1997年より名誉会長。1984年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、2001年より最高顧問。2010年には日本航空会長に就任し、代表取締役会長を経て2013年より名誉会長。1984年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ。

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