「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

時代を超えて際立った存在であり続ける企業の本質を明らかにした「時代を超える」経営書

『ビジョナリー・カンパニー』 -時代を超える生存の原則 ジム コリンズ;ジェリー ポラス・著 日経BP社
 1995/9/29

先見的な経営で社会にインパクトを与え、時代を超えて際立った存在であり続ける超優良企業を、本書では「ビジョナリー・カンパニー」と定義。その中から18社を選び、そこに共通する特徴を導き出す調査プロジェクトの結果から“生き残る”企業の条件を探ります。

内容詳細

超優良な18社を選出して分析

 ビジョナリー(Visionary)とは、「先見の明がある」「未来志向」という意味であり、ビジョナリー・カンパニーは、他に先駆けた経営で社会にインパクトを与え、時代を超えて際立った存在であり続けている超優良企業を指す。
 全世界で350万部を売上げたベストセラーである本書は、その後『ビジョナリー・カンパニー4』までと特別編からなるシリーズの第1作である。
 CEOへのアンケートを元に独自の基準で選び出したビジョナリー・カンパニーとされる企業のうち、1950年以前に設立された18社を抽出し、同業種の比較対象企業とくらべながら、そこに共通する特徴を導き出す調査プロジェクトの結果をもとに、“生き残る”企業の条件を多角的に論じている。
 永続性のあるビジョナリー・カンパニーの最大の特徴は、「基本理念」に対して信仰に近いほどの情熱のもと、それを守り抜こうという明確な意志が見えることだという。

 

カリスマ的経営者はいらない

 巨大な売上を上げる有名企業の中には、カリスマ性のあるトップが卓越したビジョンと経営戦略で組織を先導する会社も少なくない。だが、本書で抽出されたビジョナリー・カンパニーにカリスマ的指導者はほとんどいないという。あえてカリスマになることを避ける指導者もいる。
 永続するビジョナリー・カンパニーに、強力なリーダーシップのあるトップは必要な要素ではない。なぜなら、いくらカリスマ性のある経営者であっても、個人としてはいずれこの世を去らなければならない。同様に、「すばらしいアイデア」も永続性という点では役に立たない。どんなに先見的で斬新なアイデアでも、時間が経てば時代遅れになる。
 本書で著者らが解明したのは、ビジョナリー・カンパニーが永く生存するために必要なのは「組織」だということだ。基本理念を守り、それを生かすためにあらゆる手段をとる、組織としての姿勢があることが重要な条件といえるだろう。

 

「OR」ではなく「AND」で考える

 ビジョナリー・カンパニーにとって重要であり、その永続性を高める働きをする基本理念だが、その内容にはそれほど共通点がないという。2社の基本理念が、対照的といえるほど違っているケースもあるそうだ。つまり、基本理念の内容は、それほど大きなポイントではない、ということだ。内容ではなく、「基本理念をいかに信じているか」が重要になると、本書では説明されている。
 また、ビジョナリー・カンパニーの特徴として興味深いのは「二者択一」をしないことだ。AかB、どちらかを選ぶ「OR」の発想をしない。それよりもAとB両方を同時に追求できる「AND」で考えるということだ。
 ビジョンと基本理念は違う。守るべきものである基本理念とは異なり、ビジョンは環境や状況に応じて柔軟に変化させていくものだ。「守るべきもの」と「変えていくべきもの」を正しく見きわめられるかどうかが、ビジョナリー・カンパニーと他を分ける大事なポイントなのかもしれない。

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 1. 最高のなかの最高
  2. 2. 時を告げるのではなく、時計をつくる
  3. 3. 利益を超えて
  4. 4. 基本理念を維持し、進歩を促す
  5. 5. 社運を賭けた大胆な目標
  6. 6. カルトのような文化
  7. 7. 大量のものを試して、うまくいったものを残す
  8. 8. 生え抜きの経営陣
  9. 9. 決して満足しない
  10. 10. はじまりの終わり

◎著者プロフィール

ジェームズ・C・コリンズ
スタンフォード大学大学院修了。同大教授などを経てコロラド州で経営研究所を主宰。ドラッカー亡き後、世界で最も影響力のあるビジネス・シンカー。10年にも及ぶ企業調査を通して、数々のコンセプトを打ち出してきた。『ビジョナリー・カンパニー』シリーズではミリオンセラーを連発した。

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