「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

どんなリーダーでもフォロワーでもその組織のメンバーであれば必ず組織を変革することができる

『リーダーシップからフォロワーシップへ』-カリスマリーダー不要の組織づくりとは 中竹竜二・著 CCCメディアハウス
1728円 2009/1/30

組織論や人材育成で、「リーダーシップ」のほかに「フォロワーシップ」という言葉が使われることが多くなっています。2008年に初めてフォロワーシップを掲げ、早稲田ラグビーを大学日本一に導いた中竹元監督が、フォロワーシップを生かした組織づくりを語ります。

内容詳細

誤解されがちなフォロワーシップ

 本書の著者である中竹竜二・元早稲田大学ラグビー蹴球部監督は「日本一オーラのない監督によるフォロワーシップ」という、前任の清宮克幸氏とは正反対のコンセプトで2008年から指導を行い大成功を収めた。それが「フォロワーシップ」という言葉が日本でも人々の口にのぼるようになったきっかけといえる。
 しかし、半ば流行語のようになった言葉の宿命として、表面的な意味だけが一人歩きし、誤解が広まることもよくある。フォロワーシップの場合、リーダーシップを否定するものと捉えられたり、それだけが組織に必要なものと思われている、などである。
 本書では、フォロワーシップの最初の提唱者である著者が、そうした誤解を解き、「リーダーが考えるリーダーシップ」「リーダーが考えるフォロワーシップ」「フォロワー自身が考えるフォロワーシップ」「フォロワーが考えるリーダーシップ」という四つのテーマから多角的、実践的に解説している。

 

各自の「スタイル確立」が重要

 著者は、フォロワーシップはリーダーシップを否定するものではない、と説く。それどころか、たとえば“強い”組織を短期間でつくらなければならない時には、トップダウンのリーダーシップが必要になるという。清宮監督は、低迷したチームを1年で優勝させなくてはならなかったため、強力なリーダーシップが功を奏した。著者に課せられたのはその戦力を引き継ぎつつ、新しい戦力を育成する役割だったため、フォロワーシップが最適だったのだ。
 リーダーが組織のフォロワーシップを育てる際に重要なこととして著者は、「一人ひとりにスタイルを構築させること」を強調する。しかもリーダーがスタイルを押しつけるのではなく、フォロワー自身に考えさせる。リーダーの役割は、各自の心身を十分理解した上で自己分析を手伝うこと。時には励まし勇気づける。「上からの『してあげた』目線ではなく、身内としての見返りを求めない愛」が必要と著者は指摘している。

 

個人ができないことを組織で行う

 この「スタイル」とは何か。それを理解するのに、本書の中にある早稲田ラグビーでウイングを務めていたD君の事例がわかりやすい。ウイングとは、走ってボールをゴールまで運びトライを決める花形のポジションである。だがその年、まだ一度もトライを決められなくて悩んでいたD君に著者は、「トライを絶対とらないウイング」という独自のスタイルを確立したらどうか、と助言。他の選手へのアシストなどでD君を高く評価していたからこその助言だったが、開き直った彼は、直後の試合で3トライを上げたという。
 こうした異なる視点を提供し「スタイルづくり」をサポートするのが、フォロワーを育てることになるのだろう。
 また、フォロワーシップでは、「個人でできないことを組織で行う」という視点が大事ということだ。あくまで「個」が優先。「集団に所属した個人」という考えが支配的な日本では、まず「個」を意識させることから始めるべきではないだろうか。

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 1. 組織論の見直し
  2. 2. リーダーのためのリーダーシップ論
  3. 3. スタイルの確立
  4. 4. リーダーのためのフォロワーシップ論
  5. 5. フォロワーシップの実践
  6. 6. フォロワーのためのフォロワーシップ論
  7. 7. フォロワーが考えるリーダーシップ論

◎著者プロフィール

中竹 竜二
日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。1973年福岡県生まれ。福岡県立東筑高校卒業後、93年に早稲田大学人間科学部に入学。4年次にラグビー部の主将を務め、全国大学選手権準優勝。大学卒業後、英国に留学。レスター大学大学院社会学修士課程修了。三菱総合研究所、三協フロンテアを経て2006年4月より早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。 07年度、08年度、大学選手権で優勝。2010年監督を退任し、現職に。

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