「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

「五郎丸ルーティン」の生みの親が初めて書いた、ラグビー日本代表を変えた「メンタルの鍛え方」

『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』 荒木 香織・著 講談社
907円 2016/2/19

ラグビーW杯で南アフリカに勝利した日本代表の大活躍の裏には、フィジカルと同時にメンタルを鍛え上げた長い時間が存在していました。日本代表のメンタルコーチを務めた荒木香織氏が、最新のスポーツ心理学から導き出された「メンタルの鍛え方」を紹介しています。

内容詳細

ゲン担ぎではない五郎丸ルーティン

 ラグビー・ワールドカップで、五郎丸選手がキックを蹴る前に必ず行った、前屈みになって両手を組む一連の動作は、パフォーマンスの前(プレ)に行う準備(ルーティン)で「プレ・パフォーマンス・ルーティン」と呼ばれるものだ。それまでも五郎丸選手のキックは国内屈指の成功率を誇っていたが、ワールドカップで戦うには安定感をさらに高める必要があり、そのサポートを任された荒木氏と一緒につくりあげたものであった。
 その動作は一見祈っているように見えることから、ゲン担ぎと思っている人も多いが、それとはまったく違う。プレ・パフォーマンス・ルーティンとは、パフォーマンスを行う前にルーティンを正確に行うことだけに集中することで、さまざまな雑念を取り払うことができるもので、スポーツ心理学の研究によっても、「ルーティンを持っている選手のほうが、持っていない選手に較べて成功体験が多い」ことが実証されている。

 

ネガティブ思考を停止する方法

 五郎丸選手は、クールに見えるがじつは繊細で、チームメイトがミスをしたりすると、試合中にイラつき、自分のパフォーマンスを低下させてしまうことがよくあった。しかし、他人のミスは自分でコントロールできないのだから、そんな無駄なことにエネルギーは使わずに、自分ができることに集中したほうがいい。
 では、どうやってそのようなネガティブな考えを断ち切るのか。たとえば、「イライラしているな」と気づいたときは必ずポストのいちばん上を見るようにする。そうすることによって自然に考えること自体をやめるように意識するのである。
 それは最初からできるわけではないが、ポストを見たらオートマティカルに思考をストップすると言うトレーニングを繰り返していくうちに可能になっていく。そのような思考停止にはなんらかのツールが必要不可欠なので、イライラしたら「これを触る」とか「何かを叩く」というふうに、自分なりのツールをあらかじめ決めておくことが大切だ。

 

メンタルトレーニングを重視しよう

 日本の指導者は、選手のメンタルは自分がいちばんわかっていると思い込み、メンタルトレーニングを軽視する傾向にある。そのため、日本のほとんどの競技のチームにはメンタルに関する専門家がいなかった。エディ・ジョーンズ氏がヘッドコーチになって初めてラグビー日本代表にもメンタルコーチとして荒木氏が就任したのである。
 日本では、選手が引退した翌日から監督やコーチになるケースが少なくないが、選手としてパフォーマンスをするのと、選手をコーチすることは本来、別物であるはずだ。体罰が起きるのも、指導者がどうやってコミュニケーションをとれば選手が納得するか、その方法を知らないから、つい手が出てしまうのだろう。コーチは指導法について学ぶように心がけるべきであり、少なくともメンタルや栄養学などについては、専門家の手を借りて任せるようにすれば、もっと余裕のある指導ができるようになるに違いない。

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 序. メンタルコーチという仕事
  2. 1. 最高のパフォーマンスを発揮するためのメンタルスキル
  3. 2. 自分に自信をつけるためのメンタルスキル
  4. 3. 目標を達成するためのメンタルスキル
  5. 4. 困ったときのメンタルスキル
  6. 5. 受け止め方を変えるメンタルスキル
  7. 終. ラグビー日本代表がもたらしたもの

◎著者プロフィール

荒木 香織
兵庫県立大学環境人間学部准教授。1973年、京都市生まれ。京都女子中学・高校から日本大学文理学部在学中は、短距離陸上選手としてインターハイ、国体などに出場。その後、スポーツ心理学を学び、ノーザンアイオワ大学大学院で修士、ノースカロライナ大学大学院グリーンズボロ校で博士課程を修了。エディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)に請われて、2012年から2015年までラグビー日本代表のメンタルコーチを務めた。
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