「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

前人未到の領域から放たれる、
「キング・カズ」の言葉の数々。

『とまらない』 三浦 知良・著 新潮社
734円 2014/3/15

1993年のJリーグ創設当初から日本のサッカー界をけん引してきた「キング・カズ」こと三浦和良選手。45歳になった今も現役でプレーを続け、ゴールを決めればそれは自身が持つJリーグ最年長ゴール記録の更新を意味する。歩みをとめようとしない三浦選手が語る。

内容詳細

過去は振り返らず「次」を目指す

 プロになって30年になろうが40年になろうが、自分は過去を振り向かないと三浦和良選手は話す。J1で139得点、J2も合わせると157得点ぐらいゴールしているが、そんなものはもう過ぎたこと。通算の157ゴールより、次の「158点目」が大事だ。人生は一つひとつの積み重ねであり、次、そしてまたその次の1点へ自分のすべてを注ぎたいという。
 30代後半までは頭のなかは粗削りで本能のままプレーしていたが、最近になって次々と新しい発見がある。例えば、若いときは量をこなしたことが自信になり、時間と量を費やした分だけ、得るものがあった。でも10代や20代のころとは違う自分になり、質の大切さに気づいた。量を増やすことは目に見える分やりやすさがあるが、質を高めるのは難しい。サッカーについて20代で理解してしまう選手もいるが、未完成な自分には広がる余地もあり、だからこそまだまだ先があると思っていると三浦選手はいう。

 

今日を頑張らないと明日もない

 ワールドカップや代表選考になると必ずテレビで流れるシーン。「外れるのはカズ。三浦カズ」。フランスワールドカップのメンバーから落選した三浦選手は、帰国した空港から直行して練習に出た。落ち込んでいる暇はないと思ったのである。ワールドカップもオリンピックもすべては通過点に過ぎず、いま45歳でプレーしているこの瞬間も通過点。プロは「いま」を生きるしかない。今日は選手でも明日はどうか分からない。自分の置かれた状況なんて一瞬で変わる。今日を頑張らないと明日もない。
 45歳にもなると、1年1年というスパンではなく、1日1日という感じだ。今日これだけ練習して明日はどうなるかは自身にも分からない。でも、不安や危機感と隣り合わせの人こそ、強くなれるのではないか。挑戦は必ずリスクを伴うが、やらずに後悔するよりやって後悔したほうがいい。もともと身の保証がないのがプロだが、その代わりに夢がある。

 

野心をエネルギーに変える

 「上」を目指すには野心に似た感情が必要だ。でも野心だけではだめで、努力が伴わないといけない。若い頃に比べて、いまは野心をエネルギーに変えるのが上達した。20代はきつい練習で調子が上がることもあったが、同じことを30代ですると疲れが抜けず逆効果になる。ダッシュなら100本こなしていたのを30本に抑え、その分、走りの密度や効率を求めると、体と感覚の帳尻が合ってくる。しかし、がむしゃらに100本走った時代のある人でないと、30~40代で強度の高いことをしようとしても無理。ずっと「30本の人」には手の施しようがないのである。
 三浦選手は、東日本大震災を境に、スポーツが人々に呼び起こすものはより大きくなっていると感じているという。あの日以来、スポーツがより「みんなのもの」になった。スポーツに託された心情を実感するとき、三浦選手は一層真剣に全力でプレーしなければならないと意を強くしている。

 

 

(文・情報工場

 

情報工場
厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。日本語未翻訳の海外の話題の書籍も日本語ダイジェストで紹介。上場企業の経営層・管理職を中心にビジネスパーソン約6万人が利用中。

 

目次

  1. 1. 僕たち自身が変わろう
  2. 2. 新たなる冒険と挑戦
  3. 3. 習慣と工夫、継続と刷新

◎著者プロフィール

三浦 知良
1967年静岡県生まれ。15歳でブラジルに単身渡航し、プロサッカー選手になる。帰国後、1993年発足のJリーグで初代MVPになるなど活躍。日本代表の試合では55ゴールを記録。イタリア、クロアチア、オーストラリアでもプレー。その後、京都サンガ、ヴィッセル神戸を経て、現在、横浜FCに所属。

「スポーツの名将・名プレヤーに学ぶ仕事術」に関する書籍一覧

  • 『師弟』 野村 克也 (講談社)

    仕事がわかる。野球がわかる。そして人生がわかる。

    独自のID野球でヤクルトスワローズを4度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた野村克也元監督。そして同球団で入団から4年間指導を受け、2013年に現役引退をした宮本慎也元内野手。元名監…

  • 『逆転のメソッド』‐箱根駅伝もビジネスも一緒です 原晋 (祥伝社)

    青学を「箱根駅伝」優勝に導いた理論と情熱の「伝説の営業マン」に学べ!  駅伝にもビジネスにも共通した成功の秘訣とは?

    2015年の箱根駅伝で青山学院大学は悲願の初優勝を果たしました。優勝に導いたのは、サラリーマン時代に「伝説の営業マン」だった原晋監督。本書は、不屈の精神で苦境を逆転してきた原晋監督…

  • 『リーダーシップからフォロワーシップへ』-カリスマリーダー不要の組織づくりとは 中竹竜二 (CCCメディアハウス)

    どんなリーダーでもフォロワーでもその組織のメンバーであれば必ず組織を変革することができる

    組織論や人材育成で、「リーダーシップ」のほかに「フォロワーシップ」という言葉が使われることが多くなっています。2008年に初めてフォロワーシップを掲げ、早稲田ラグビーを大学日本一に…

  • 『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』 荒木 香織 (講談社)

    「五郎丸ルーティン」の生みの親が初めて書いた、ラグビー日本代表を変えた「メンタルの鍛え方」

    ラグビーW杯で南アフリカに勝利した日本代表の大活躍の裏には、フィジカルと同時にメンタルを鍛え上げた長い時間が存在していました。日本代表のメンタルコーチを務めた荒木香織氏が、最新のス…

  • 『見抜く力』-夢を叶えるコーチング 平井 伯昌 (幻冬舎)

    「オリンピックに行きたいか?」。中学2年生の北島康介にかけた、この一言から全ては始まった。

    北島康介、中村礼子というまったくタイプの違う二人の選手を、2大会連続のオリンピック・メダリストに育て上げた平井伯昌コーチ。選手の「才能」を見抜くのではなく、それぞれの「特性」を見抜…

コメントを投稿する

投稿者名(12文字以内)
コメント
(100文字以内)

医師のためのビジネス選書

ページの先頭へ