医師専門コンサルタントが伝授!

初めてアルバイトする医療機関で気をつけること7つ

4月に入り、職場に新しい医師が加わった、あるいは新しい職場で働き始めた、という先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな何かとあわただしい4月は、新しい医療機関でアルバイトを始める先生が多くなる季節でもあります。新年度の体制変更による異動に伴い、アルバイト先を変える先生が増えるためです。また、ゴールデンウィークに初めての勤務先でアルバイトする、という先生も少なくありません。

初めての職場は、たとえアルバイトでも緊張するものではないでしょうか。
そこで、初日からスムーズに勤務するために、初めての医療機関でアルバイトする際に気をつけるべきことを、医師専門のコンサルタントよりお伝えします。

事前準備の注意点

■ 当日提出する書類を忘れないよう、事前準備を!

初出勤日の持ち物として、保険医登録票や医師免許証の写しなどを求めるところも少なくありません。書類を忘れてもその日の勤務は可能です。しかし、当日のみ勤務するスポット勤務の場合、後日郵送する必要が出てくるなど面倒な手間が発生します。また医療機関にとってはどれも雇用契約上大切な書類であり、余計な手間をかけさせることになります。忘れないよう、当日までに準備しておきましょう

■ 緊急事態が発生した際の連絡先は把握していますか?

急な体調不良や交通機関の遅れなど、何かあった時の連絡先はご存じですか? 事前に緊急連絡先を確認し、当日いつでも連絡できるよう、携帯電話に登録するなどして控えておきましょう。

ある病院の事務長に聞いた話ですが、スポット勤務の先生が時間になっても現れず、15分ほど遅れて到着。結果、診療開始時間が遅れ、患者さんからクレームが入ったそうです。遅刻の理由は電車遅延でした。事前に連絡さえもらえれば、到着まで他の医師に外来に入ってもらうなど何かしら対応ができたのに、と悔しそうに話されていたのが印象的でした。

無断で遅刻するとその分の給与が減額されるのは当然のこと、勤務先やその先の患者にも迷惑がかかります。緊急事態が発生した際は、遅れそうだとわかった時点で早めに医療機関に連絡をしましょう。

また、交通機関だけでなく、直前に大きな手術が入ってしまったなど、前の仕事が長引きそうな場合も、分ったタイミングで連絡を入れておきましょう。

■ 意外と盲点!? 当日訪ねる“担当者の名前”と“場所”を確認

意外と忘れやすいのが、これ。当日、どこに誰を訪ねればいいのか、担当者名と受付の場所を忘れずに確認しておきましょう。
特に、企業や学生の健診アルバイトの場合、会場が工場や学校のこともあり、会場内で迷ってしまうことも。その際も、担当者宛てに電話を入れれば、受付まで誘導するなどの対応をとってくれます。また、病院でのアルバイトの場合、スタッフが多く全員が先生の勤務状況を把握しているわけではありません。勤務手続きをスムーズにするためにも、当日訪ねる担当者の名前は確認しておきましょう。

 

出勤時の注意点

■ 15分前には到着を!

医療機関の中には、勤務開始前に10分から15分ほどかけて、院内設備や医療機器の取り扱いについて説明するところも少なくありません。

また、初めての道は迷いやすいもの。「急行が止まらない駅だと分からず乗り過ごしてしまった」「駅についてから病院までの道のりで、迷ってしまった」「周辺の道路が混雑していて、ナビで調べた到着時間内に辿り着けなかった」といった失敗談も少なくありません。事前に地図を用意し場所を確認しておく、時間に余裕を持って家を出るなど、慌てることのないよう事前準備をしておきましょう。

勤務開始時間ぎりぎりに到着してしまい、機器に不慣れなまま診療が始まり苦労した、という医師の声も耳にします。事前の説明の有無や、何分前に到着しておくとよいか確認し、少し早めに出発することをお薦めします。

■ タクシー代が交通費に含まれる場合は、領収書を忘れずにもらいましょう

交通費が給与とは別に支払われる「実費精算」の場合、基本的に、公共交通機関の利用分のみ実費で支払われます。しかし中には、駅から遠い、当直など送迎バスがない時間帯の勤務であるといった理由から、病院の最寄駅からのタクシー代が支給される場合もあります(この場合、求人票に「タクシー代支給」と記載されることがほとんどです)。

タクシー代が支給される際に必要となるのが「領収書」です。もらい忘れのないように、また、もらった領収書はなくさないようきちんと保管しておきましょう。

なお、領収書は当日に手渡される場合と、後日、帰りのタクシーの領収書もあわせて郵送やFAXで提出する場合があります。提出方法もあわせて確認をお忘れなく。

 

アルバイト先での注意点

■ やっぱり基本は挨拶

人間関係の基本は挨拶。アルバイト先も同じです。気持よく勤務するために、当日、担当の方や診療のサポートに入ってくれるスタッフへの挨拶は忘れずに行いましょう。面接の時から、廊下などで医師やスタッフとすれ違った際に会釈や挨拶をしておくと、後々気持ちよく迎えてもらえるでしょう。

スポット勤務の場合、加えて、一緒に外来や当直を担当する医師にも挨拶をしておくことをお薦めします。さらに、一緒に働く医師やスタッフの苗字を把握しておくと、よりスムーズなコミュニケーションに繋がります

ちなみに、ここで言う挨拶とは「おはようございます」「よろしくお願いします」といったごく基本的なもの。何も特別な挨拶が必要なわけではありません。

少し極端な例ですが、挨拶をされても返さない、話しかけられているのに反応しないなど、あまりにも無愛想な態度を取っていると、患者やコメディカルスタッフからクレームが入ることも。スポット勤務の場合、一度のクレームで契約が打ち切られることはありません。しかし、注意しても直らない場合、契約打ち切りの事態に発展することもあります。またスポット勤務の場合は再度アルバイトがしたいと思っても、先方から断られてしまうことも。お互い気持ちよく働くためにも、挨拶を心掛けるようにしましょう。

 

勤務後も、注意が必要!?

■ 給与の入金確認もお忘れなく

アルバイトでトラブルになりがちなのが、給与の振込。

支払日に給与が振り込まれていなかったという、ウソのようなホントの話も聞かれます。しかし、そのほとんどが、医療機関側の手続きが間に合わなかったり、医師側の提出書類に不備があったためと、故意のものではありません。事前に先生に断わりの連絡が入ることが多く、給与も遅れてではありますが、きちんと支払われます。

とはいえ、このような可能性を考えると、給与が振り込まれているかどうか、きちんと確認をしておくに越したことはありません。雇用契約書に記載されている給与支払日にきちんと入金されているか、振込額は正しいか、確認することをお薦めします。

もう一つ、給与の振込で起こりがちなのが、「振込金額が違う」という振込額に関するトラブルです。ただし、注意しておきたいのが、入金されるのは源泉徴収後の金額だということ。雇用契約書に書かれている金額が手取り額ではなく全額表記の場合、そこから税金が引かれた額のみ入金されます。雇用契約書の契約内容を確認の上、振込金額が正しいかチェックしてください。

さらに確認しておきたいのが、年末に届く源泉徴収票。アルバイト先が閉院した場合、「源泉徴収票が届かない」という事態が発生することがまれにあります。この場合も、故意であることは少なく、顧問会計事務所や経営を引き継いだ医療機関に連絡をすればきちんと対応をしてくれます。

なお、手前みそではありますが、当社のアルバイト紹介サービスでは、振込額が違う、そもそも入金がされていない、源泉徴収票が届かない等、給与に関するトラブルが発生した場合の対応も行っております。ですから、紹介会社を利用されている際は、まずは担当コンサルタントにご相談ください。

以上、初めての医療機関でアルバイトする際に注意すべきことをご紹介しました。

どれもごく当たり前のことばかり。でも、ほんの少しの気遣いと対応がスムーズな勤務と勤務先からの信頼につながります。また、医療業界という狭い世界では、アルバイト先の評判が、いつ先生の足を引っ張らないともかぎりません。 せっかくでしたら、アルバイト先でも、スムーズに、そして気持よく仕事をし、評判を上げたいもの。ぜひ参考にしてみてください。

 

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片田祐生(かただ・ひろお)
株式会社メディウェル マーケティングシステム本部 本部長。
一橋大学社会学部卒後、7年に渡り日本全国の医療機関の採用支援と医師の転職支援を行う。医師専門コンサルタント、マネージャー、東京営業所所長を経て現職に至る。業界最大級を誇る医師専用求人ポータル、「医師転職ドットコム」や「医師バイトドットコム」のプロデュースを中心に、「納得いくキャリア」や「満足いく採用」の実現に不可欠なインフラ構築を、マーケティング、ITの観点から推進している。
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