医師家庭限定! 子育てコンシェルジュが教える わが子が「医師になりたい!」と言い出した時のために。

第3回 学力=どこまで? いつまでに?

藤崎 達宏 氏(子育てコンシェルジュ)

こんにちは! 子育てコンシェルジュの藤崎です。わが子が「医師になりたい!」と言い出した時に、学力はいつまでにどこまで達していればよいのでしょうか?

今回は、医学部合格に必要な学力について、お話します。

 

医学部合格に求めれられる学力レベルとは?

 

文中

 

こちらは、各種予備校が発表している国公立医学部合格者のセンター試験の得点率です。1位は東京大学の理科Ⅲ類で、合格した学生の平均得点率が92%ですので、実際に合格した学生の中には満点を取っているお子さんも沢山いることが予想されます。

逆算的に申し上げますと、国公立医学部を目指すのであればズバリ
「高校3年の夏休みまでに、センター試験90%の実力を」。
私だけではありません。全ての医学部予備校が口を揃えて言っていることです。「そんなの理想論ですよ!」とか、「それができれば世話ないですよ!」といった声が聞こえてきそうですが、灘、ラ・サールに代表される医学部合格トップクラスの私立中高一貫校のカリキュラムは、全てこの一点に向けて組まれているのです。皆様が住んでいる地域がどこであっても、中学受験をしようと、しまいが、最終的に医学部受験は全国区の戦いになります。全国の精鋭たちがこの一点に向けて駆け上がってくるのです。

 

センター試験廃止の影響は?

でも、そのセンター試験も廃止になるんですよね?

その通りです。
ご存知のとおり、2020年よりセンター試験が廃止になります。この春、中学3年生になられたお子さんから新試験制度の対象となるわけです。現試験が教科別のマークシートなのに対して、新試験制度は、教科の枠を超えた合教科・総合型に変わります。

では、センター試験がまったく無くなってしまうのか? というとそうではなく、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」と「高校基礎学力テスト(仮)」、二つの共通試験として残る予定です。「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」は現在のセンター試験と同様1月の中旬に、「高校基礎学力テスト(仮)」は各学年で年数回行われる予定で、今で言う「内申点」扱いになるとされています。とすると、大学入試のスケジュールは更にタイトになり、より早い仕上がりが要求されることとなります。

まだ、この制度変更には未確定の部分が多いのですが、今より状況は厳しくなることを考えると、目標点は「高校3年の夏休み前までに、センター試験90%の実力」に設定しておくべきです。

 

今後、入試で要求される能力とは?

しかし、「教科の枠を超えた合教科・総合型?」などと言われても、いったいどんな問題が出題されるのでしょう?また、それに対してどのような準備をすれば良いのでしょう?

ここからは、私の全くの主観ですが、多分、核心を突いていると思うのでお話しておきます。

キーワードは「学問を身近に感じる力」です。

現在の試験制度では、義務教育で習う範囲の知識を正確に習得していることを競う形です。いわゆる正解を覚え、素早くアウトプットする能力が問われています。しかし、誰でも簡単にスマホで検索できる現代社会においては、正解を早く導き出す能力は重要ではなくなります。

これからは、問題を自分で発見し、今まで培った知識や能力を総動員して解決し、それを、口頭、もしくは論述で人に伝えていく力が重要になります。

試験問題を作られている先生方はみなさん、自分が専攻する学問に深い愛情を持っていらっしゃいます。その学問の魅力は、単なる暗記された知識で味わえるものではないと感じられているのだと思います。単教科、机上の学問に留まらず、あらゆる分野が繋がっている奥行を是非、学生にも体感して欲しいと願っていらっしゃるのではないでしょうか。

日頃、テレビや新聞の上で起きている出来事を「身近な“私事”」として捉え、学校で習った知識を駆使し、判らなければ辞書を引き、インターネットで調べる。そして、正解を求めるのではなく、自分の考えとしてアウトプットしていく力として学問を活用して欲しいと感じているのではないでしょうか?

実はこの考えを、中学受験の問題を作っている先生にお話したことがありました。すると、先生は私の手を取って、「まさしく、その通りです。私以外の教育者もみんな、そうした熱意を持って問題を作っているのだと思います」と熱っぽく語ってくださいました。中学受験の「良問」と言われる問題からも、そうした「勉強を身近に感じて欲しい」という先生方の想いがヒシヒシと伝わってきます。

 

「学問を身近に感じる力」の養い方

私の持論が当たっているとすれば、その試験準備はどうすればよいのでしょうか?

日々、吸収している知識、原理、数式が、日常生活のどこに応用されているのか?を常に念頭において学習を続ける以外ありません。そして、それをどうやって説明したら周りの人にも理解してもらえるか?自分の言葉で考えること、これが「学問を身近に感じる力」なのです。

「身近に感じる」のは、学校や塾だけではありません。家庭での日常生活の会話の中にこそその力を養う要素が満載されているのです。

お茶の間でのニュース取り上げ「お父さんはこう思うけれど、君はどう思う?」といった、決して正解を求めない日常の会話が、これからの時代の実力を養うこととなるのです。

いかがでしょうか?

次回は、センター試験廃止の最大ポイント「英語」についてお話しましょう。

 

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藤崎 達宏(ふじさき・たつひろ)
NPO法人 横浜子育て勉強会 理事長。
1962年横浜生まれ。外資系金融機関に20年間の勤務を経て独立。4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した個別相談会「お父さんもいっしょに幼稚園選び」のほか、全国の企業や団体などで子育てセミナーを行う。最近では各医師会や医師協同組合での講演を多数実施。取得資格は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定教師(0~3歳)/国際モンテッソーリ協会認定教師(3~6歳)。最新著書に『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』(10/23発売)。
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