医師家庭限定! 子育てコンシェルジュが教える わが子が「医師になりたい!」と言い出した時のために。

第4回「英語」を制する者が全てを制す!

藤崎 達宏 氏(子育てコンシェルジュ)

前回、「高校3年の夏休み前までに、センター試験90%の実力!」、これが、わが子が医師になりたいと言い出した時のために、親が目指さなくてはいけないベストアプローチポジションだとお伝えしました。ここまでは、よろしいでしょうか?

「しかし、その、センター試験も廃止になるんですよね?」

その通りです。2020年の東京オリンピックと同年、センター試験が廃止になります。2020年ということは、現中学3年生から新制度ということですね! 新試験については、まだ情報が混沌としておりますが、その一番の変更要因は「英語教育改革」です。

今回は、その「英語」について、親として押さえておかなければいけないことをお話しします。

 

英語教育改革が生み出す「格差社会」

英語教育の改革アウトラインは5つです。親として必ず予習しておきましょう。

  • 1 公立小学校において英語の授業が3年生から始まる。
  • 2 小学5年生から読み書きの授業が週3コマ、スタートする。
  • 3 中学からは英語で授業を進行する。
  • 4 中学卒業時に準2級をスタンダードとする。
  • 5 高校卒業時に準1級をスタンダードとする。

「中学から英語で英語の授業を進行する」というのは英語教育としては理想的です。しかし、いくら小学3年生から義務教育で英語教育をスタートしたとしても、中学入学時に全員がその実力をつけていることは無理な話です。

したがって「英語で授業!」を実現するには、公立中学に入学したと同時に「能力別クラス分け」をせざるを得なくなるでしょう。

上のクラスに入れるのは、私費で英語塾に通えた裕福な家庭の子ども、もしくは帰国子女となり、一般庶民との「格差」が中学1年生において、既に明確になってしまうのです。

今現在、中学卒業時に英検3級がスタンダードなのが2級になり、高校卒業時に英検2級がスタンダードなのが準1級になります。
ザックリ言えば、「3年前倒し」ということです!
破格の切り上げです。

英検準1級ということはTOEIC785点以上ということです。大手企業の管理職昇給基準が780点ですから、相当のレベルです。このレベルを公立高校卒業時のスタンダードレベルに設定して、逆算的に英語教育のカリキュラムが組まれるということです。

現在の医学部受験生であっても、積み上げ教科である英語と数学の仕上げに苦戦して、理科科目に手が回らないのが現状です。そこからさらに、英語の基準が上がるとすると英語の出来が大きな差を生むことは容易に想像がつきます。

今回のタイトル「英語を制する者が全てを制する!」は極言ではないと思います。

 

「スピーキングの導入」が意味するものは?

そして、新しい試験制度では、「読む」「聞く」「書く」に、「話す」を加えた4技能を総合的に評価する形になります。

しかし、スピーキング試験を全国一斉試験に導入するには、インフラ的に相当な無理があります。現在のセンター試験時のリスニングにおいても、トラブルが毎年報告される状況で、とても導入は無理!というのが現場の声のようです。
そこで決まったのが、

これまでのマークシート式問題と「民間の資格・検定試験」の併用です。

極端な話、英検1級を既に持っている学生は「東大理Ⅲの英語試験は免除!」などという可能性が出てくるわけです。

実際、2017年から鹿児島大学医学部では、「英検準1級以上の取得者はセンター試験満点扱い」に移行しています。

 

整理しておきたい!「民間の英語資格検定の種類と特徴」

今後、重要性を増す民間の英語資格検定には、どんな種類があり、どんな特徴があるのか、親として、ここで一度整理しておく必要があります。

1 英検(実用英語技能検定)
日本で最も受験者数の多い英語検定。1級取得者は日本政府観光局が実施する通訳案内士試験での英語科目が免除される。英語を日常生活の中で活用できることを前提にしている。

2 TEAP(ティープ)
上智大学英検を主催している日本英語検定協会が共同で開発した。大学(留学を含む)で学習・研究する際に必要とされる英語力(読む、聞く、書く、話す)を判定する。日本の多くの大学で、入試の際、英語科目の試験として様々な形で採用されている。大学において英語で授業を行う事を前提にしている。高校2年から受験可能。

3 GTEC(ジーテック)
ベネッセコーポレーション傘下の英語学校ベルリッツが行うビジネス英語検定。高校生~大学1年生向けの「GTEC for STUDENTS」もあり、学校ごとに取り入れているケースが多い。

4 TOEIC(トーイック)
国際コミュニケーション英語能力テスト。ビジネスにおける日常会話を想定した英語能力を判定する際に用いる。英検やTOEFLに比べ、ビジネスの世界で使われる用語が多い。

5 TOEFL(トーフル)
英語圏の高等教育機関が非英語圏の出身者を対象に入学希望者の英語能力を判定する際に用いる。130ヵ国9,000校以上の大学や機関が入学選考基準にTOEFLのテストスコアを採用している。英検のようにレベル別に問題が作られている訳ではないので、ある程度の英語力を付けてから受けないと、試験時間が結構つらいものになってしまう。英検準2級の問題を、正答率80%以上で解けるレベルになってから受けるのが良いかも?

では、医学部志望であれば、いつまでに、どこまでのレベルに達している必要があるのでしょう。

ズバリ「小学校6年までに英検2級」です!

これは、十分可能な目標設定であり、達成した時には強烈なアドバンテージとなることを保証いたします。

 

「小6で英検2級」がもたらすもの

「英検2級であれば私でも持っています!」という親御さんはたくさんいらっしゃると思います。しかし、「準1級」となると、極端にその数は減ります。その間にどんな差があるのでしょう。英検2級までは「日本語を英語に」「英語を日本語に」といった、「ジャパニーズイングリッシュ」で対応できます。しかし、準1級レベル=医学部受験レベル=センター90%レベルとなると、「英語を英語で読む」「英語の斜め読み」が必須となるのです。そのための基礎体力とも言える英語力が英検2級なのです。したがって、英検2級をいかに早い年齢で取り、基礎体力を付け「英語で英語を理解する、多読・多聴ゾーン」に、いかに早く移行できるか? が、大学入試の鍵を握るのです。

小学校6年生で英検2級⇒ 高校1年生で英検準1級に到達すれば、高1にして、センター試験満点扱いに到達するということです。

ベストアプローチポジションである、「高校3年の夏休み前までにセンター試験90%」の主要要素である英語が、高校1年にして100%に到達するということなのです。

いかがでしたか?

次回は、医学部受験の登竜門、「中学受験」についてお話ししましょう。

 

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藤崎 達宏(ふじさき・たつひろ)
NPO法人 横浜子育て勉強会 理事長。
1962年横浜生まれ。外資系金融機関に20年間の勤務を経て独立。4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した個別相談会「お父さんもいっしょに幼稚園選び」のほか、全国の企業や団体などで子育てセミナーを行う。最近では各医師会や医師協同組合での講演を多数実施。取得資格は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定教師(0~3歳)/国際モンテッソーリ協会認定教師(3~6歳)。最新著書に『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』
『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』
著者:藤崎達宏
発行所:三笠書房
発行日:2017年10月23日 初版第1刷

内容:
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大事なのは、子どもがいつどのような力をつけていくかという「成長サイクル」を親があらかじめ「予習」しておくことです!

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