ユニクロ「幻のバイブル」がわかりやすく読める。「これが僕の人生でナンバー1の経営書だ!」(柳井 正)

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『超訳・速習・図解 プロフェッショナルマネジャー・ノート』
柳井正・解説 プレジデント書籍編集部・編・著 プレジデント社
1296円 2010/12/27
貧しい家庭に育ち、職を転々としながら経営スキルを身につけ、米大手通信会社のCEOに上りつめたハロルド・ジェニーン。彼が経営者としての心構えや手法を説く1984年発表の名著を、多忙なビジネスパーソンがそのエッセンスをつかめるよう再構成しました。
内容詳細
現場経験から経営のあり方を説く
貧しい家庭に育ち、さまざまな職を転々としながら経営のスキルを身に付け、1959年にアメリカの通信会社ITTの社長兼最高経営責任者に就任したハロルド・ジェニーン。彼の就任後、同社は、「58四半期連続増益」というアメリカ企業史上空前の記録を打ち立てる。
ジェニーンは、自ら現場の経験をもとに、経営者としての心構えや手法を説く『プロフェッショナルマネジャー』をアメリカで1984年に発表(日本では2004年にプレジデント社から刊行)、一大ベストセラーとなった。日本ではファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏が「この本こそが、私の人生で最高の経営の教科書」と大絶賛している。
本書は、同書の内容をわかりやすくかみ砕き、多忙なビジネスパーソンがジェニーンの経営術のエッセンスを取り込めるよう解説、再構成したもの。理論だけではなく、実践の中からつかみとったジェニーンの“体験”を感じ取れる内容となっている。
ハーバードの理論に疑問を呈する
ジェニーンは、1980年代にハーバード・ビジネススクールが考案した「キャッシュ・カウ&スター理論」に疑問を呈する。この理論は、自社の事業部を一定の基準により「スター(星)」「キャッシュ・カウ(牡牛)」「ドッグ(犬)」に格付け、分類するというもの。「スター」は成長性も収益性も高い事業部で、収益性は高いが成長可能性が低いと「キャッシュ・カウ」に分類される。そして、収益性が低く、成長も見込めない事業部が「ドッグ」になる。
ジェニーンが危惧したのは、スター以外の二つのカテゴリーに分類された事業部で働く人々のモチベーションだ。誰も、“ダメ部署”とレッテル貼りされた職場で働きたいと思わないだろう。また、「ドッグ」と決めつけて切り捨てるのではなく、なぜ「ドッグ」なのか理由を探り、同じ犬でも優秀なグレイハウンドに育てるにはどうすればよいかを考え、できる限りのことをするのが経営者の責任だとジェニーンは断言する。
人材育成は「かまど料理」と同じ
ITTの社長兼CEOに就任するにあたってジェニーンは、1年あたりの業績の目標を定めた。するとITTの各ユニットは、この目標達成のために5年間の事業計画づくりに忙殺されることに。そのために、目の前の四半期の目標が達成できなくなっていることに、ジェニーンは気づく。
そこで彼は「今後、長期計画は一切無用とする」との覚書を社内で配付。まずは「やり始める」ことが大事だということをジェニーンは強調する。
人材を評価して育てるのは、「かまどで料理をする」ようなものだとジェニーンは言う。かまどでは、火・薪、空気の流通などさまざまな要素に注意を払い、コントロールしなければならない。レシピはあってもその時々に合わせた調味料の塩梅で料理の味は変わる。このように自分の全感覚と能力を注ぎ込んでつくる料理こそ、マネジメントのひな型であるとジェニーンは言う。そして、そこで一番大事なのは「鍋から目を離さないこと」なのだ。
(文・情報工場)
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目次
- 1. セオリーだけでは経営なんかできない
- 2. 経営の秘訣
- 3. 大不況の中で手に入れた金銭以外の報酬
- 4. 2つの組織
- 5. 経営者の条件
- 6. リーダーシップ
- 7. エグゼクティブの机
- 8. 最悪の病 —エゴチスム
- 9. 数字が意味するもの
- 10. 企業家精神
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