「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

聖徳太子から徳川家康、渋沢栄一まで、多くのリーダーたちが愛読してきた『論語』からビジネスの実践哲学を読み解く!

『リーダーの究極の教科書 論語』 皆木 和義・著 クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
1490円 2015/10/23

2000年以上にわたって読み継がれてきた『論語』には、リーダーのあるべき姿・規範が記されており、上に立つ者にとっての「究極の教科書」といえます。その『論語』のエッセンスを、多くの名経営者や真のリーダーたちのエピソードを交えて、わかりやすく解きほぐします。

内容詳細

真摯に学ぶ姿勢が逆境を克服する

 『論語』を著した孔子は、古代中国の聖人君子である周公をはじめとする先人から深く学び、思索したという。そんな孔子の姿と重なるのが、パナソニックの創業者である松下幸之助だ。
 戦後最大の不況に直面した昭和39年、幸之助は「熱海会談」と呼ばれる全国販売会社代理店社長懇談会を開催し、「実態を包み隠さず教えてほしい」と参加者に呼びかけた。そして参加者から噴出した不満に、延べ13時間にわたって真摯に耳を傾けた。その後、幸之助は自社の制度やさまざまな仕組みを冷静に再点検して抜本的な対策を講じ、1年半後には業績を回復させた。まさに、お客様である販売会社・代理店の声から深く学び、反省して改め、不況を克服したのである。孔子の言葉に「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知れば、以て師と為るべし」とあるが、最新の経営手法だけでなく、歴史や先人、お客様やマーケットなどすべてを師として学んでこそ、不況や逆境を克服できるのである。

 

不惑の40歳は人生の洗濯をするとき

 40歳を指して「不惑」というが、その言葉の出典は「吾十有五(われじゅうゆうご)にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り……」という孔子の人生の節目を表した有名な言葉である。
 著者の皆木和義氏は40歳頃、経営コンサルタントとして独立するか惑ったが、41歳のときに会社を辞して退路を断ち、創業した。以後、停滞や紆余曲折を経験しながらも、孔子の「学」への姿勢と同様、まさに「我以外皆師」として、いつも何からでも学ぼうという前向きな姿勢で今日まで歩んできたという。
 人生の折り返し地点ともいうべき節目の40歳は、ゼロベースで「人生のグランドデザイン」をあらためて考え、夢や人生の目的、哲学などの再点検をすべきときである。その際には何かを“断つ”ことが必要だ。そして、決断をしたら、そのことに天命を信じて人事を尽くすのである。

 

論語から生み出される人間力

 渋沢栄一は、日本資本主義の父とも評される明治屈指の経済界のリーダーであるが、小さいころから『論語』を学び、「財を生ずるに大道あり」などの言葉に大きな影響を受けた。それが後に、『論語と算盤』という彼が到達した道徳経済合一説の原点となり、「富を成す根源は何かといえば、仁義道徳、正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。論語(義・倫理)と算盤(利益)は両立する」という考え方を生んだ。その考えに基づき、渋沢は約500の民間企業をつくる他方で、約600の社会貢献事業を行ったのである。
 関東大震災の折にも東京にとどまり、過去の経験や人脈を生かし、震災復興に全力で取り組み、米国などから巨額の義援金や大量の救援物資が届けられた。一方で、渋沢は「物資の復興」と同時に「精神の復興」も不可欠であると主張した。論語にあるように徳のある社会をつくり出してこそ、人々が平和な生活を取り戻すことができると考えたのである。

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 序. 論語が教えてくれること
  2. 1. 人生と論語
  3. 2. ビジネスと論語
  4. 3. 天命と論語

◎著者プロフィール

】皆木 和義
経営研究家。日本取締役協会会員。1953年、岡山県生まれ。早稲田大学法学部卒。経営コンサルタント、プロ経営者、作家、歴史研究家として幅広く活動。(株)ハードオフコーポレーション(東証一部)代表取締役社長、経済産業省消費経済審議会委員などを歴任。経営の第一線で活躍するとともに、NPO法人 確定拠出型年金教育・普及協会理事長なども務める。著書は、『1人で100人分の成果を出す 軍師の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)、『稲盛和夫の論語』(あさ出版)など多数。
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