ハイ・パフォーマーに必要な「マインドフルネス」の本質的な話。なぜ「内省する習慣」があなたの力を引き出すのか

-
『マインドフル・リーダーシップ』
田口 力・著 KADOKAWA/中経出版
1512円 2015/9/11
「今、目の前のこと」に集中する瞑想法の一種である「マインドフルネス」。世界の先端企業で取り入れられてますが、これは「リーダーシップ」にとっても有用です。マインドフルネスを活用した、時代や環境に左右されない普遍的なリーダーシップを探ります。
内容詳細
普遍的なリーダーシップを解説
ビジネスで成功するにはあらゆる場面での「リーダーシップ」が欠かせない。それゆえ古今東西、さまざまなリーダーシップ論や理想のリーダー像が語られてきた。しかし、リーダーのあるべき姿は時代や個々の組織やチームを取り巻く環境によって異なり、普遍的なスタイルを見出しづらいのが実状だろう。
本書では、その「リーダーの普遍的なスタイル」は「ある」とし、それを「マインドフル」であることとしている。「マインドフルネス」を身につけた者はいつの時代にもどんな環境であってもリーダーシップを発揮できるというのだ。
「マインドフルネス」という言葉は東洋思想を取り入れた一種の「瞑想法」を指すことが多く、グーグルをはじめとする先端的な企業に採用されていることで注目を浴びている。本書では、「マインドフルネス」の基本的な考え方をリーダーシップに応用する具体的方法を、著者自身の多くのリーダーを育ててきた経験をもとに詳説している。
「今、ここ」に意識を集中する
瞑想法としての「マインドフルネス」の基本は、意識を「今、ここ」に集中させることだ。我々はなかなか「集中」することができない。多くの情報が飛び交い、コミュニケーションのスピードも速くなっている現代ではなおさらだ。また、「過去」をくよくよ考えたり、「未来」を不安に思ったりする感情が入り混じり、「現在」のみに集中することは意外に難しいものだ。
著者は、リーダーはまず「自分を知る」ことから始めるべきとしている。自分の価値観を自覚することで判断や行動の「軸」ができる。その軸がなかったり、ブレたりしては、他者に影響を与えることは難しい。マインドフルになって自分自身の「今、ここ」に集中することで、軸が見えてくるのだという。
自分の軸を見出した上で、次に必要なのは「相手を知る」こと。そこでもマインドフルネスは威力を発揮する。今度は「相手」の話を聞いたり、観察するのに「集中」することが求められるからだ。
究極の「ピュアネス」をめざす
マインドフルネスがめざすのは、究極の「シンプルさ」や「ピュアネス」なのだと思う。余計なもの、「今」必要のないものを削りとって、本質を見出す。そうすれば、例えば部下を評価する際にも、先入観や根拠のない情報に惑わされず公正な判断ができるだろう。ピュアな意識を保つことができれば、これまで思いもよらなかった角度から問題解決や課題設定のアプローチができるようになるのではないか。
本書には章末にいくつかの「コラム」が挿入されているのだが、そのうちの「天国と地獄」と題されたショートストーリーが印象的だ。死神が若者に、天国と地獄それぞれの食事の様子を見せる。どちらも二人の人が向かい合わせに食卓についており、各々の右手同士、左手同士が紐で結ばれている。地獄では引っ張り合いになって食べられないが、天国では二人の手が一緒に動きお互いの口に食べ物を運んでいる。考え方次第で同じ条件でも天国にも地獄にもなるということだ。
(文・情報工場)
厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。日本語未翻訳の海外の話題の書籍も日本語ダイジェストで紹介。上場企業の経営層・管理職を中心にビジネスパーソン約6万人が利用中。
目次
- 序. すべてのリーダー論の「前提」と「根底」
- 1. トップ・リーダーが「強くなる」前にしていること
- 2. “今、目の前のことに集中する”という考え方
- 3. 自分の「限られた意識」を最大活用しなさい
- 4. 目の前の彼と「心を合わせて」いますか?
- 5. 「成果を出せるチーム」はたった14%しかない
コメントを投稿する