「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

「いかにもリーダー」なあの人より、「ちょっと自信がない」人のほうが、上手くいくというのが事実なのは何故か

『リーダーのための「レジリエンス」入門』 久世 浩司・著 PHP研究所
961円 2014/12/18

最近、求められるリーダー像が大きく変わっています。ストレス要因の多い社会では、従来のカリスマ型・強権型のリーダーではなく、地味でも打たれ強い「レジリエンス・リーダー」が多く活躍しています。なぜ「打たれ強いリーダー」がいいのかを解き明かします。

内容詳細

レジリエンスは国家間の議論にも

 「レジリエンス」は、全米心理学会で「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義づけられている。レジリエンスは個人のみならず、組織や国家レベルでも考慮されるようになってきている。
  世界各国から政治や経済の要人が集まる「世界経済フォーラム」(通称ダボス会議)では、2013年のテーマとしてレジリエンスが議論された。世界的な異常気象と地震・津波などの災害、そしてリーマンショックで明らかになった金融システムの脆弱さに耐えうる強靭な国家のあり方について話し合われたのである。また、政財界トップの間では、「変化や危機はさけられないもの」と捉え、「変化に適応できるように自分たちが変わらなくてはいけない」という積極姿勢が主流になりつつある。
  個々の企業でも、レジリエンスが重視されるようになってきた。とくにグローバル企業で、リーダーの要件にレジリエンスを加えるケースが増えている。

 

カリスマ性だけでは尊敬されない

 今日、レジリエンス・リーダー(打たれ強いリーダー)が求められる理由は三つある。
  一つは「カリスマリーダーの限界」だ。従来模範とされてきたアメリカ的な「強権型リーダー」に限界が来ている。職場には、専門的な知識を自らの資本とする「ナレッジワーカー(知識労働者)」が増えている。豊富な知識を持った部下は、カリスマ性があるという理由だけではリーダーを尊敬しなくなっている。
  二つめの理由は「グローバル化」。グローバル化に対応するには、語学力や異文化理解のほかに「変化適応能力」が必要になる。たとえば海外に現地リーダーを派遣する場合に、変化を積極的に受け入れ、柔軟に対応できる力量を持った人材を派遣しなければ、失敗は目に見えている。
  そして三つめは「リーダーのメンタル面での課題」だ。多忙とストレスと業務プレッシャーの中で、まじめでがんばり屋なリーダーほどキャリア半ばで精神的に折れてしまいがちだ。それではリーダーは務まらない。

 

自然体のリーダーが成功する

 久世浩司氏は「打たれ強いリーダー」への取材を重ねるうちに、レジリエンスの観点から、彼らにはいつくかの共通点があることに気がついた。「自分より他者を優先する」「自分らしさを貫いている」「自分は自分でいいと考え、自然体でいられる」といった特徴だ。
  彼らは、自分自身を理解する努力を惜しまず、常に自分の新しい側面を見いだしている。また、心や感情が揺さぶられるような辛い体験を苦しみながら乗り越えた経験を通して、確固たる自分の強みを熟知するようになる。
  結局、自然体でいられるリーダーが成功するのだ。自信満々なカリスマリーダーは辛いときでも自分を偽り、平気な顔をしているうちに神経をすり減らし、ストレスを抱えてしまう。レジリエンス・リーダーは、わからないことは「わからない」と素直に認め、苦手なことは他人に任せる。ありのままで、弱みも見せるほうが、部下の共感が得られ、成果も生み出しやすいのだ。

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 序. レジリエンスとは何か?
  2. 1. 胆の据わった「楽観力」という強み
  3. 2. 「持続可能な熱意」という強み
  4. 3. 聖人君子でない「利他性」という強み
  5. 4. 「根拠ある自信」という強み
  6. 5. 意志の力が支える「勇気」という強み

◎著者プロフィール

久世 浩司
ポジティブサイコロジースクール代表。株式会社レジリエンスコンサルティング代表取締役。認定レジリエンスマスタートレーナー。慶應義塾大学卒業。P&Gで高級化粧品ブランドのマーケティング責任者としてブランド経営、商品・広告開発、次世代リーダー育成に携わる。その後、ポジティブ心理学およびレジリエンスを活用した人材育成に従事。NHKの「クローズアップ現代」でレジリエンス研修が放映された。
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