「コミュニケーションの棚」から、おススメの一冊をご紹介! 医師のためのビジネス選書

スティーブ・ジョブズの医師も務めた米国第一線がん研究者による、医者に殺されないための「最新養生法」

『ジエンド・オブ・イルネス』 ~病気にならない生き方 デイビッド・B・エイガス・著 日経BP社
2160円 2013/8/22

がん研究者である著者のエイガス氏は、自身の研究のかたわら、「健康とは何か」について長年考えてきたといいます。人間の体に対する見方を劇的に変える新たな健康モデルを提案するとともに、生活の質を向上させ、長寿をかなえるための驚異的な医療技術を紹介します。

内容詳細

病気の原因は一つではない

 医師をはじめとする医療従事者は日々患者の「病気」と闘い、治療のためにあらゆる努力をする。また、病を患った人は健康を取り戻そうとし、健康な人は自らの「健康」を維持したいと願う。だが、本書の著者の一人で故・スティーブ・ジョブズの医師でもあったデイビッド・B・エイガス氏は、多くの人の「健康」や「病気」に対する考え方は間違っていると指摘している。病気や不健康の原因を一つに限定すべきではないというのだ。ウイルスや遺伝子の変異“だけ”に原因を求めるのではなく、複雑なシステムである人間の体全体を見ることを主張している。
 部分ではなく全体を見るというのは、東洋医学にも通じる考え方だろう。健康や病気についてに限らず、我々は得てして「部分」だけを見がちだ。物事の原因と結果を一対一の単純な線で結んで考えるのではなく、一歩引いて「全体」を見ることで心の余裕が生まれる。その余裕が健康に役立つともいえるのではないか。

パーソナル・メトリクスのすすめ

 著者は、自らの複雑な体全体を理解するために、各自が「パーソナル・メトリクス(測定基準)」を確立することを推奨している。一人ひとりが自分自身の主治医となり、健康のために最善の決定をすべきというのだ。
 パーソナル・メトリクスをつくるにはどうしたらいいか。まずは体重、睡眠時間など健康に影響する情報を集める。そして、医学的検査で、遺伝子やたんぱく質の状態を調べる。そうしたデータをもとに、健康を維持するためのロードマップを描いておく。そうすれば、医師やメディアからの情報を鵜呑みにせずに、主体的な判断が可能になるということなのだろう。
 結局のところ、「自分の体は自分のもの」という意識を徹底させることが重要なのではないだろうか。これは頑固に医師の言うことを受け入れないということではなく、医療や健康増進の主体をあくまで自分自身に置き、自身ではカバーしきれないことを専門家である医師に頼るという考えである。

「自然なバランス」を常に意識する

 著者が勧める健康法は、拍子抜けするくらいシンプルで、当たり前のようなことだ。「食事、睡眠、運動を365日、ほぼ同じ時間に行う」といった規則正しい生活を送ること。だが、これを本当に実行することの難しさは誰もが知っていることだろう。実行するためには、まず人の体の全体的なシステムについて、また自分自身の体と行動の特徴についての正しい理解が前提になる。そして、薬やサプリメント、健康食品などに安易に飛びつかない固い信念が必要になるのではないか。
 たとえば本書では、ビタミン剤でビタミン不足を補うことの不合理性が指摘されている。これだけ豊富な食品があふれているのに、わざわざ不自然なかたちでビタミン摂取を行うことはない、一度に大量にビタミンを体に摂り入れることで却って体のバランスを崩す、といった説明は非常に納得できるものだ。とにかく「自然なバランス」を常に意識することが健康維持の鉄則といえるだろう。

 

(文・情報工場

 

情報工場
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目次

  1. 1. あなたの健康を定義する科学と技術
  2. 2. 健康的な生活の要素
  3. 3. 未来のあなた

◎著者プロフィール

デイビッド・B・エイガス
医学博士。南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校教授、USCビタビ工学校教授、USCウエストサイド・がんセンター長および応用分子医学センター長。プロテオミクスとゲノミクスを応用したがん治療法の開発に取り組む。米国がん協会の内科医研究賞など、数々の賞を受賞。健康維持のための最新の医療技術・サービスを提供するアプライド・プロテオミクス社、ナビジェニクス社を共同で設立。 クリスティン・ロバーグ:ロサンゼルス在住のライター、編集者。専門的な話題を理解しやすい作品に仕上げることに定評がある。
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