新しい医療のカタチ、キャリアのカタチ
~救急から在宅へと飛び込んだ医師の挑戦~
山口 高秀氏(医療法人おひさま会理事長/在宅医療やまぐちクリニック院長)
いま、厚生労働省が推進する「在宅医療」。
今後、多くの医師が必要となるこの領域に、救急医療の世界から転身した一人の医師がいます。綿密な地域連携が必要とされる在宅医療において、連携の効率化や医師の負担軽減のため、「おひさまネットワーク」という仕組みを作り運営する、医療法人おひさま会の理事長、山口高秀先生です。
彼はなぜ分野を超えた転身という道を選んだのか。そして彼の考える「在宅」の今後とはどのようなものなのか。
山口先生にお話を伺います。
「医療の入り口」を担う救命救急医から、在宅の世界へ
——まず「在宅医療」の道に進まれたきっかけや理由をお聞かせください。
もともと、僕は当初は救命救急科に進んだんですが、当時これほど高齢者が増えるとは全く意識していませんでした。当時、救命救急と同時に勉強していたのは、外科・脳外科・整形・集中治療などの周辺領域です。当時は大阪大学の特殊救急部と呼ばれている名門で学ばせていただくことができました。
名前も正直かっこいいと思ったんですよね。
とまあ、冗談はさておき、当時から今の自分の片鱗があったかなと思うのは、病院の奥に引っ込んで職人のように専門性を発揮するというよりは、救急車を引き受けるとか、プライマリ・ケアという認識は強くはなかったですが、医療の入り口になる部分をやりたかったというのはありました。
私たちが学んでいた救命センターの技術は、外傷や、中毒、熱傷、労災、事故といった不幸にも不慮の事故や疾病にみまわれた人を救命するということでした。
そのなかで、たとえば外傷や交通事故といったものは、車の進歩や労働環境の改善でどんどん解決されて、少なくなっていくわけです。その一方で増えていくのが高齢者の疾患。多疾患が併存しているとか、高齢によって回復が難しい病態をお持ちの方などです。こうした患者さんに対するアプローチとしては、救命センターよりも、予防とか、再発防止とか、退院後の支援といった形の方が発展性を持っているのではないかと思うようになっていました。特に退院に関しては救急の出口問題としてクローズアップされてきていました。
それはそれで、救急救命の現場で働くのはとても楽しかったのですが、それらの課題に立ち向かうことも救急の分野として重要だと感じる中で、十年前に在宅医療に自分のキャリアの舵を切りました。
「資源がない!」から始まったクリニック立ち上げ
——その、在宅医療の方に舵をきったきっかけについて、もう少し詳しく伺えますか?
そうですね。
予防、再発防止、退院後の支援といった方向に興味を持つようになると、今度は高齢の方や末期がんの患者さんなどに対する医療はどう在るべきかということをもっと突き詰めたいと思うようになりました。それで「どこかクリニックに勤めて在宅医療をやってみたい」と思い始めたんです。
そこに、うちの事務長が現れたんです。
彼は当時、まだ別の医療法人の経営コンサルタントを勤めていました。
僕は彼が関わっていた医療法人の「在宅医療のクリニックを作ります。在宅医療の医師を募集します」とういう求人広告を見て、それに応募したんです。
——なるほど。あくまで「転職」なんですね。起業ではなく。
そうなんです。でもね、救急センターを辞めていよいよと準備を始めたら、クリニックの立ち上げが中止になってしまった。
——え……退職された後にですか?
そうなんですよ。スポンサーを失ったわけですよね。仕事も辞めてしまいましたし。貯金もないわけですよ。無一文です。本当に「何とかせなあかん!」というところからスタートしたわけです。
——何と言いますかその……想像していたストーリーと違いますね。
そんな状態の中で、「じゃあ何からはじめようか」という話になるわけですが……とにかく、持っている「医療資源」が少ないんです。最初は医療事務スタッフと事務長、そして僕の三人だけでしたから。立ち上げたばかりの頃は患者さんもふえず、経営資源的にも難しい状況でした。看護師を雇うなんてことは、ぜいたくな話になります。
しかし、この「少ない医療資源」をどう解決するのかというのが、最初に直面した問題であり、将来への布石となりました。
——スタッフが少ないということは、それだけ一人ひとりに労働が集中してしまう……ということですね。
その通りです。特に重要なのが「医師に全部やらせていたら医師が疲弊していってしまう」という点でした。とにかく「医師にしかできないこと」は医師がやって、医師じゃなくてもできることをお願いする「医療資源」を確立する体制を作らなければなりませんでした。
たとえば看護師が採用できない。だったら地域の訪問看護ステーションがあるじゃないか、とか。
薬だけが必要な場合は地域の薬剤師さんにお願いしたら在宅訪問など動いてくれるんじゃないか、とか。
医師と医療事務、事務長の三人でやっていくために、考えられるあらゆる手段を検討しました。
その結果たどり着いたのが「地域の医療資源」と「最大限連携していく」、というスタイルでした。
これが「おひさまネットワーク」の原点です。
もし最初にリッチだったら、ナースや医療事務を採用して、さらに医師も複数名配置して24時間対応をチーム体制でやりましょう、なんて話になっていたかもしれません。でも、そんなことできはしませんでした。
課題はコミュニケーションの量と質
こうして何とか走り出しを迎えることができたわけですし、ご相談いただいた患者さんはとにかく断らないようにしていました。救急をやっていて、疾患特異的な対応ではないが、とりあえず医学的管理に対応できるという強みには生かせました。
その結果、ありがたいことに色々なところから様々なご相談をいただけるようになっていきました。
でも、それらの患者さんは地域的にまとまっているわけでもなく、利用している病院や訪問看護ステーション、担当のケアマネージャーも全部バラバラ。そういった環境で地域の医療機関の皆さんと連携してやっていこうとすると、かなりの量のコミュニケーションが必要になります。
看護師さんが側にいてくれる環境だったら看護師さんに声をかけて直接話せばいい。でもうちには看護師もいませんでした。地域にある多数の訪問看護師や施設の看護師とコミュニケーションが必要です。
連携しなければならない薬局さんも一箇所ではありません。
高齢者施設のようなところもあそこはひとり、こちらは5人、あちらは15人とバラバラ。
こうした状況の中、地域の医療関係者に連携してもらおうとすると、コミュニケーション量が膨大化していきます。
考えてみてください。医師が訪問・診療を行う。その結果を、その患者をとりまくケアマネージャー、薬剤師などへの説明まですべて行っていたら……医師は疲弊しきってしまうでしょう。
そこで、こうした「医師しかできない仕事やコミュニケーション以外のもの」を、医療事務スタッフに移行していく工夫を始めました。
それに伴い、当院の医療事務スタッフは本来の事務領域の仕事に加えて、地域の医療ネットワークの中での「情報を整理して正しいコミュニケーションを担保する」という役割を担うようになったんです。これが後の「メディカルスタッフ」ですね。
メディカルスタッフは医療職ではありませんので医療的な「判断」は行いません。「判断」は常に医師が行います。
だからメディカルスタッフは見聞きした情報を必ず医師に繋がなければなりません。医師がいなければ連携する看護師さんに情報を伝え、事態が解決に向かうよう努めます。
もしメディカルスタッフが医師から「この患者さんにはこうしておいて」と依頼されたら、その依頼を実現するために看護師やケアマネージャー、薬局、病院などにお願いして回ったりもします。
これらはすべて「資源が少ない」という課題があったからこそ生まれた仕組みです。あとは質を改善し、量を拡大していく作業でした。
——ただの伝達役ではなく、コンシェルジュのような役割ですね。
我々が目指す医療のスタイルと「資源が少ない」という状況を照らし合わせたときに「この役目を果たしてくれるスタッフを育てなければ」という方向性が確定しました。
——今のおひさまネットワークの形は医師をはじめとする地域の医療・看護資源と患者さんが非常によいバランスで結ばれている印象があります。その鍵となるのが「メディカルスタッフ」ということですね。
その通りです。
「メディカルスタッフ」の役割は色々ありますが、ひとつは、患者さんや医師などの間に立ち、それぞれを「繋ぐ役割」を担うことだと思っています。これが我々のネットワークの原点です。これを組織化していくことで現在の形が生まれました。これこそがおひさまネットワークの産声でした。
これからの高齢者医療対策
——立ち上げ以来、一貫して患者さんも増え続けているようにお見受けします。どれくらいの増加があるのでしょうか。
10年間で、受け入れ患者数は5400人、現在の医学管理患者数は2,000人となりました。この増加率は本当に驚くほどで、高齢化がいかに深刻な課題となるかを日々感じています。
今はその数の圧力を受けながら医師を集めたり、常に不足している医療資源の問題を解決したりする工夫を常に検討しています。
ただ、患者さんの増加数に合わせて資源をおひさま会でどんどん投下していく、なんてことは無謀と考えています。だからこそ、少ない資源で医療が回るように、「おひさまネットワーク」というもので地域連携していければと考えています。
その効率的連携のカギとなるのがおひさまネットワークによるコミュニケーションの効率化に加えた、「分業の推進」と「IT化」です。
幸い、「おひさま会」には同じやり方で動くクリニックが5つあるので、一元管理が可能なそれぞれのレセプトなどの情報をITで繋ぐ体制づくりを進めています。
——いま進めておられる分業化について少し伺います。
分業は、ともすると工場生産のようになりがちで、流れてくる案件の詳細や課題を細かく知っている人がいなくなってしまうという懸念が生じます。この辺りについてはどうお考えですか?
まったくその通りだと思います。でも、ここが面白いところで、地域包括ケアの構造というのはまさにそれなんだと思います。「多職種連携」ですからね。
地域包括ケアは「多職種連携」で構成されます。だからそれぞれの職種が見ているものも、価値観も、それぞれまったく異なっているんですね。つまり、分業というより、同じものを色んな角度からみている。
たとえば僕ら医師は「肺炎をおこさないことが大事」と思っている状況があるとします。でも、その一方でケアマネージャーさんは「明日の食事におばあちゃんが大好きなうなぎを食べられるかどうかが大事」なんてこともしょっちゅうなんですね。
それなのに「いや、薬ちゃんととろみとかつけて予防しとかなきゃあかんよ」なんて言って医師がやりたいことだけを押し付けてたら、確かに医療の面は完璧に揃っているけども、生きがいの面がとんでもないことになっている、つまりはルービックキューブみたいになっていることも多いものです。
自分が専門とする面については、誰でもきちんと揃えようとしてくれます。でも、他のところに関してはあまり目がとどかない。みんな自分のところだけを揃えようとする。この傾向はどうしても拭えません。でも、この傾向と目指すべき構造がわかっていれば、つまり、他の面への理解を示しつつ、BestではなくBetterを考えさえすれば、きちんと指示を出すこともできるようになると思います。分業というより多面的というのでしょうか。
むしろ、多職種間での連携では自分が受けた情報というボールと、それに対して感じる課題について、自分で解決できないものだったら分かる人間と思われる人に確実にパスすることが大切です。分かってくれるところまで根気強く投げ続けると。これが大事だと思います。
我々のネットワークの中では、たとえば私に連絡して繋がらなかったら、うちの法人の医師全員に順番に連絡が行くようになっています。それでダメだったら薬剤師さんや看護師さんに相談してみて、それでもダメだったら「これはもう先生につながらないから、とにかく医療機関にかかってください」とお伝えし、受診先を探していくことになっています。こうした「とりあえずは何とかする」という仕組みの整備も重要ですね。あとはどう事後処理していくのかも腕のみせどころです。
兎にも角にも、重要なのは「ネットワーク」だということだと思います。患者さんやご家族も含めて全体的なネットワーク。その全体を見て情報の交通整理をしてくれる人=メディカルスタッフがいるというのが効いてきますよね。そして、誰がどの分野に一番詳しいのかを把握していれば適切なパスを回すことができます。
ある程度の規模を超えると多様な連携先といえども、チーム構成は変われど、スタッフは同じ面々になってきます。徐々に情報共有にも安定感が出てきます。この形がうまく回るところまで拡大することで、より安定的で良い療養生活を実現できればと考えています。
今後の医師のキャリアと在宅医療・生活医療
——先生はスタートアップした時にここまでの規模のものをつくろうと思ってらっしゃったんですか?
いいえ、思っていませんでした。もう「来る者拒まず、去る者追わず」でやってきただけです。
現在、我々がこの地域でこれだけ引き受けていても、地域の他のクリニックも含めて、全体的にますます忙しくなっています。我々が理解している以上に高齢化の波が驚異的な勢いなのだと思います。
いまは、他のクリニックと連携し、当直を引き受けていただける医師を共有する形で15名ほど確保することができました。その連携する先生方にうかがっても、皆さん忙しくて医師が足りないと言っています。日本の高齢化と在宅医療のニーズというのは、それくらい大きな波なんですね。
だから、今後医師がキャリアについて考えるにあたっては、高齢化の高波がここまで押し寄せてきていて、地域のクリニックがパンクしそうな状況になっているということを理解した上で検討すべきだと思います。
地域で支えきれなかった患者がみんな病院に押し寄せたとしたら、病院が破綻することになります。
それを食い止める人材と構造というものが世の中に求められています。つまり、ここはニーズとして確実に今も存在しているのです。
2025年には65歳以上の高齢者は3,650万人、2042年には3,870万人を超えてピークを迎えると言われています。支える若者の数が減っていきます。
病院だけで支えきれるはずもない。これが私たちの近々の課題であり、その解決のために国が「在宅医療を推進します」とか、「かかりつけ医を作りましょう」といった誘導を行っているわけです。当然、この波に乗ることが今後の医師のキャリアには必要になってくると思います。
——絶対避けては通れない道だと思います。
たとえば「病院の医師が疾病Aで病態Bになる患者さんを扱う数」などは疫学的・統計学的に算出できると思います。そして、それは人口とともにおそらく減少傾向になると思われます。
専門医というのは、そうなると数は限定的になるでしょうし、「求められる専門医」になれない人も増えてくるでしょうし、専門医になれたとしてもそこで競争が起こる可能性も高まるでしょう。つまり、専門医の数的ニーズは減少気味になるでしょう。一方で多種多様な疾患や、何よりその生活によりそうプライマリ・ケアができる医師へのニーズが高まるのではないでしょうか。
そして、特定分野の専門家というのは、本当にある程度大きな規模の急性期病院の数人の専門医に集約され、真に専門的なところを受け持ってもらう形となる。
こうした医療の再編が起こることで、患者さんの生活に密着しながら健康管理を行ない、対応が必要な状態になった時に適切な病院や専門医のところに送り出していくという連携の形ができあがります。在宅医療も生活に根ざすものであり、もちろんこうなります。地域や生活に本当の意味で密着しながら、病院とも連携して患者さんを支え合う仕組みが求められる時代になります。
こうして考えてみると、在宅医療やかかりつけ医といった「生活に密着した医療の現場」というのは、医師のキャリアとしても市場としても若い人が「来なきゃアカンところ」だと思いますね。
——国が伸長政策を掲げていることもありますし、やはり医師のキャリアとして在宅医療分野は注目すべき領域になりそうですね。
今後のキャリアを考えていくと、専門医をイメージするか、在宅医療、いや生活医療の領域をイメージするかでだいぶ違いが出ると思います。
個人的には専門医を極めるのなら、しっかり大学医局でポジションを築き、難しい患者さんのためにも「無くてはならない存在」として活躍していて欲しいと思います。
そうやって医局の上層部まで行くのか、我々と同じように「生活のなかの医療現場」に来て、それらをどう生かしていくのかという分野で活動するのかを検討することになるんでしょうね。
その中で言うと、僕らおひさまグループがやりたいのはまずは生活医療の方なんですよ。
最初に医療と結びつく初期診療の部分と、在宅医療も含めた生活医療の領域。
その中で救急対応が必要になったり、より専門的な治療が必要になったりしたらすぐ専門医のところに患者さんを送り最善の治療をしていただく。そして良くなればまた生活医療で生命の終わりまで寄り添っていく。こうした連携をきちんと生み出せるよう僕らがしっかり行動していけば、専門医の先生方の力ももっと活きてくると思っています。
生活の中にどれだけ医療を馴染ませることができるか。そしてその作業を地域と連携して共同・共調しつつ多職種でやっていけるか。それが在宅を含む「生活医療」だと思っています。
我々はこの領域にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
——生活医療。確かに、高齢化が進み慢性疾患が増えるであろう今後は、そういった分野がますます必要になりますね。
はい。私たちのように在宅医療をやっていると、自分が携わっている領域は命の終焉に近いもので、はたして医療なのだろうかと感じられることがあります。
しかし、医療というものは、治療するためだけのものではなくて、患者さんの生活を支えるという重要な役目も持っています。我々が根を張っている医療の場は、まさにこういう場所なのだと思います。
治療や寿命を伸ばすことができないところまで来た後にも、まだまだやれることも、やるべきこともたくさんあります。医療の目的は「治すこと」だけではありません。
そういったことを「治すことから支える医療へ」とか「CureからCareへ」と言ったりしますが、まさにその通りだなと思うんですよ。命が消える瞬間まで、人は生きています。そうした人の命に対して、自分はどう役に立てるのか考えていく作業。これを真摯に行っていくことができれば、普通の医療だったものが次第に「生活医療」に変化していくのだと思います。
そして、今度はそれをどんどん寿命をさかのぼって拡大していく。こうすることで在宅医療は「予防」の分野へも広がっていくのでしょう。
治して延命するところは、今までみんなで頑張って来ました。
今度は予防と生活医療のところをしっかりやる必要があると思うんです。
予防・在宅を支える生活医療。そのうえに病院医療を乗せて、生活医療の質を改善していくことができれば、病院医療にかかる患者の数を減らして負担を軽減していくことができるはずです。
この考え方は厚生労働省の動きと合致していると思いますよ。
この形を実現することができれば、病院医療はより高度でレベルの高いことに専念し、それが効率的な患者が、生活医療から連携されてくることになるでしょう。
あと、在宅医療あるいは生活医療の分野では、医療のスキルに加えて地域や自身の思いを見据え、人間関係や生活の中で生命を支えるためのコーディネートを行っていくことが求められます。これは教科書を読んでもわからないところですよね。実際に入り込んで、においをかいで生活を密着させてみえてきます。
いま現場にいる多くの専門医の先生方はもちろん、これから医師のキャリアを作っていく若い先生方にも、早くこちらの領域に来て欲しいと思っています。
そして実際にやってみてほしい。
こんな色とりどりの世界が好きだったら在宅医療・生活医療の分野にきてもらい、活躍していただきたいと思います。
在宅や生活医療の分野は生活に根ざした部分なので、領域がかなり広くなりますし、現在の医療の枠組みを超えるワクワクもあります。医師ができること、すべきことは多く残っています。これからキャリアの選択を行う先生には、ぜひこういう道もあることを知っていただいて、生活医療の現場で頑張っていくことを検討してほしいと思います。
(文・エピロギ編集部)
【公式サイト】http://ohisama-group.jp
医療法人おひさま会が提供する地域医療連携ネットワーク体制のこと。
在宅医療を提供する「医師(クリニック)」。
医師が提供する在宅医療を受ける「患者」さん。
そして地域の他の医師や訪問看護ステーション、介護。そして病院。
こうした登場人物で構成される地域医療の構図に対し、患者に寄り添い“のぞみ”を発見・実現する「メディカルスタッフ」を介在させることでより安定的で満足度の高い療養生活実現を目指そうというものです。
これまでの在宅医療環境では①診療側の体制不足(医師不足、訪問体制の未成熟)、②患者側のニーズの個別化、③地域の各医療資源の連携不足などが課題として上げられていました。
こうした環境に診療側の庶務を一手に引き受けつつ、患者に対してはコンシェルジュのように寄り添う「メディカルスタッフ」を配置することで、課題の同時解決を図っています。
この医療連携ネットワークは、来るべき超高齢社会に対する多くの示唆を含むケースモデルとして注目を集めています。
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- 山口 高秀
- 1999年大阪大学医学部卒業。大阪医学部附属病院特殊救急部・第一外科、西宮市立中央病院外科、大阪府立急性期・総合医療センター救急診療科を経て2006年に医療法人おひさま会やまぐちクリニック院長に就任。のち、医療法人おひさま会理事長就任。
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