第3回 学習アプリで効率よく勉強
堀永 弘義(ヘルスハッカー・薬剤師)
- 堀永 弘義(ヘルスハッカー・薬剤師)
- 東京薬科大学薬学部卒業後、渡米。2009年 ニューヨークにtlapalli, Inc を設立。医療アプリをメインに制作している。ハワイ、ニューヨーク、日本を中心に、ヘルスケアガジェット・アプリを広めるエバンジェリストとしても活動中。著書に電子書籍「薬剤師とiPad」(toyaku.com、共著)、書籍「絶対使える医療系iPadアプリ300」(エクスナレッジ)など。
医師とは、確立された医療の基本的知識を持っていることが最低条件で、常に最新の知識を取り入れなくてはならない職業。つまり、常に勉強しなくてはならない職業です。
特に最近では、患者さんもインターネットで簡単に病気の情報を調べられるため、その情報の信憑性も確かめなければいけません。大学や大学病院に属しているのであれば比較的情報を得やすいかもしれませんが、そうでなければやはりアプリでの学習が効率がよいのではないでしょうか。
最近では、医学生もアプリを使用して勉強・国家試験対策をしており、彼らが医師として現場に出てくるまでそう時間はかかりません。この機会にぜひお試しいただきたいと思います。
第3回目の今回は、電子書籍からシュミレーションができるアプリまで、効率のよい学習に貢献できるアプリを集めました。
電子書籍でいつでも学習
- 商品名
- ねころんで読めるCDCガイドライン 3部作 まるっとアプリ
- 価格
- 4,000円
- 開発会社
- MEDICUS SHUPPAN, Publishers Co.,Ltd.
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
- 商品名
- ねころんで読めるCDCガイドライン 3部作 まるっとアプリ
- 価格
- 4,000円
- 開発会社
- MEDICUS SHUPPAN, Publishers Co.,Ltd.
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
寝転びながらでも電車の中でも、食事中でも読めるという、アプリ版での特徴をあらわすのにピッタリなタイトル。米国疾病対策センター(CDC)が発行するガイドラインを扱う感染症対策の電子書籍をiPhone、iPadでも読めるようにしたものです。
書籍で購入するよりも安く、アプリのみの機能があるところも魅力のひとつ。文献へのリンクがあるため、読み進める際に確認したいときにはすぐにアクセスできるのがアプリ版の特徴です。一度書籍を読んだことのある人も、アプリを体験してみてはいかがでしょうか。
iTunes App Store
関連アプリ
ねじ子のヒミツ手技App(無料)
・こちらも紙の書籍で人気があるものを電子書籍化。自分の好きな章だけ購入できる
https://itunes.apple.com/jp/app/neji-zinohimitsu-shou-jiapp/id691745287
CGで作られたきれいなアニメーション
- 商品名
- Physiology Animations
- 価格
- 無料(追加コンテンツは有料)
- 開発会社
- Visible Body
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
- Physiology Animations
- SmartGuideline
- 価格
- 無料(追加コンテンツは有料)
- 開発会社
- Visible Body
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
まず最初に11個の無料で見られるアニメーションを再生してください。それを気に入れば、各分野の映像を追加購入できます。
体内の反応は、周辺組織や周辺細胞との密接なかかわり合いがあります。3Dの解剖学アプリはたくさん出てきていますが、このアプリはそのかかわり合いをアニメーションで簡単に理解させてくれます。
英語のアプリですが、アニメーションを見ることで学習するアプリだから心配はいりません。また、自分の診療科の動画を購入してそろえておくことで、患者さんへの説明時にも有効に使えるでしょう。
iTunes App Store
3D解剖学ツール
- 商品名
- ENT Decide - Patient Engagement Tools for Healthcare Providers
- 価格
- 無料
- 開発会社
- Orca Health, Inc.
- 使用できるデバイス
- iPhone
- 商品名
- ENT Decide - Patient Engagement Tools for Healthcare Providers
- 価格
- 無料
- 開発会社
- Orca Health, Inc.
- 使用できるデバイス
- iPhone
初回は登録が必要ですが、無料で耳鼻科3Dの解剖学ツールを手に入れられるアプリです。コンピュータグラフィックで作られた3Dモデルをいろいろな角度から見られるという、紙の解剖学教科書では不可能なことを実現しました。
レイヤー機能を使えば骨を加えたり皮膚を加えたり、自分の見やすい・理解しやすい表示に切り替えることができます。学習ツールとしては、さまざまな病気をCGで再現した状態、もしくは動画でも見ることができて便利。誰かに見せるときはアノテーションツールがあるので、図中にペンツールでマークを書き込むことも可能です。これは自分の覚えておきたいところをマークしておくためにも活用できそうです。
開発会社のOrca Healthは、この他にも心臓、手、脊柱、目など体の部位に分かれたアプリがあるので、探してみるといいでしょう。
iTunes App Store
関連アプリ
Gray’s Atlas of Anatomy for iPad
・解剖学の定番中の定番がアプリに
https://itunes.apple.com/jp/app/grays-atlas-anatomy-for-ipad/id444501075?mt=8
iPadがバイタルモニターに変身
- 商品名
- SimMon
- 価格
- 2,800円
- 開発会社
- Castle Andersen ApS
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad、Android
- 商品名
- SimMon
- 価格
- 2,800円
- 開発会社
- Castle Andersen ApS
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
iPhoneや、iPadで学習することの醍醐味を感じられるアプリです。「こういうことができるといいな」と思っていた人も多いはず。このアプリでは、心電図がシュミレーションできます。
心電図の学習といえば、教科書上の止まった図を見ながらが一般的ですが、このアプリは実際に使用する心電図のモニター同様、動いている心拍数などのデータとともに学習できます。自分の操作で正常の波形か異常な波形かを選択できるため、誰かと一緒に勉強する際は、何を異常値に設定したかをお互いで当てるといったことも可能ですね。設定項目には、自分がよく使用しているデバイス機器を選択できるので、慣れた機械がある場合、それを選ぶとよいでしょう。心拍数や血圧は画面上を左右になぞることで数値を変更できるので。ぜひ試していただきたいです。
やはり画面は大きい方がいいので、iPadでの使用がお勧めです。
iTunes App Store
関連アプリ
VCath
・カテーテルの挿し方をシュミレーションできるアプリ
https://itunes.apple.com/jp/app/vcath/id568887198?mt=8
いつでもどこでも大学の授業に出席
- 商品名
- iTunes U
- 価格
- 無料
- 開発会社
- Apple
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
- 商品名
- iTunes U
- 価格
- 無料
- 開発会社
- Apple
- 使用できるデバイス
- iPhone、iPad
学習アプリとしては必須のツールです。「iTunes U」の名前の通り大学の授業を視聴できる、簡単にいえば放送大学のインターナショナル版。日本だけではなく、世界中の講義が対象となります。
たとえば、ジョンズ・ホプキンス大学のプライマリ・ケアの授業。55回にわたって無料で視聴できます。授業に使われたスライドはネットからダウンロードできるので、それを見ながら受講すれば、大学で授業を受けているのとほとんど同じです。
iTunes Uは講義の映像集だけではなく、iBooksとつながった本の販売もしています。こちらは有料のものがほとんどですが、サンプルのダウンロードは無料なので、こちらも試してはいかがでしょうか。アプリさえダウンロードしておけばどこでも学習できるため、学習しない言い訳ができません。
iTunes App Store
*
学習のアプリとなると、その他のアプリに比べて高額なものも多くあります。しかし、無料版があるものに関しては、試してみて自分に合っていれば、完全版を購入するという手もアリ。また、各章ごとに必要な部分だけ購入できる電子書籍などは、紙の本よりも安上がりになる場合があります。
いつでもどこでも、学習する環境は整っています。あとは、自分のモチベーションをいかに高めていくかというところ。これらのアプリを使用することで、勉強を始めるきっかけにしてもらえればうれしいです。
第1回は「コミュニケーションに役立つアプリ」、第2回は「今すぐ使えるリファレンスアプリ」と、これまで3回にわたって医師の皆さんにお薦めのアプリをご紹介いたしました。医療の世界でもアプリはどんどん取り入れられています。紹介したアプリは無料のものがほとんどなので、ぜひ気軽にダウンロードして試してみてください。
【関連記事】
医師のためのトラブル回避術|第1回 クチコミサイトへの投稿から見るクレーム回避術
医師のためのFacebook講座
「Health 2.0 Asia – Japan」開催!<前編/1日目>
コメントを投稿する