生き抜く生命と歩む「緩和医療」
〜「より良い状態」への選択肢をひとつでも多く手渡すために〜
越川 貴史 氏(医療法人社団杏順会越川病院 理事長・院長)
医療に関わる人間が、絶対に避けては通れないものがあります。
それが、生命の終わりにどう寄り添うかという問題です。
この課題に「緩和医療」の領域から向き合い続ける医師がいます。
都内最大規模の緩和ケア病棟を持つ医療法人社団杏順会越川病院の越川貴史先生です。
超高齢時代に突入し、日本では3人に1人ががんで亡くなっています。
高齢化の進行は、がんに罹りながら生き抜く命と歩む医療の必要性を高くしています。
そのような時代に必要とされる緩和医療の在り方とはどのようなものか。
先生が考える「緩和医療」とはどのようなものか。
越川先生に話を伺いました。
「緩和医療」とはどのような医療か
——「緩和医療」と聞くと、まず想像するのがホスピスで行われている終末期医療だと思われます。一般に「緩和医療」とはホスピス医療のこと、あるいはその発展形と考えてよいのでしょうか。
重なっている部分も多いですが、厳密には違っているように思います。言い方がとてもむずかしいんですよね。私が所属する日本緩和医療学会ではいま「緩和医療」の定義を改めて検討する話し合いが持たれているところです。
まず、「緩和医療」は終末期医療だけというわけではないんです。日本緩和医療学会では“「緩和ケア」は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケア”と位置付けられており、ずいぶん早くから「緩和医療」を行うことが推進されてきています。
実際のところ、がんが発症して治療をしている段階から医療用麻薬を導入してというのはもう日常的に行われることになっていますから。ここからも終末期だけを対象としているわけではないという点はお分かりいただけると思います。
「ホスピスケア」という考え方のもと、緩和ケア病棟が始まったのは大体1980年代。ホスピスというのは「良い看取り」をどうしていくかというものです。それはとても大切な考え方ですが、これからの日本では長期の入院をすることは難しい時代になっていくと考えられます。たとえば緩和ケア病棟の施設基準も変化してきていて、救急対応や在宅ケアへの対応姿勢が問われるようになってきました。この辺りからもだいぶ変わってきたんだなと感じます。
——なるほど。ホスピスケアは施設での終末期医療(ターミナルケア)を指すわけですから、そもそも言葉としても別のものということですね。
先生はもともと緩和ケアを専門にしていこうとお考えだったんですか?
これが全く違うんですよ。そもそも私は全身管理をしていきたいと考えて内科医になったんです。
しかし、実家でやっていた産婦人科専門病院を継ぐことになった。とはいえ、専門とする領域の違いもあるし、どうしようかと考えなければならなかったんです。
その頃、自分には医者としていろいろと考え始めていたこともありましたしね。
私が大学病院に勤め始めたころから、国の方針として入院日数の短縮が始まってきました。
研修医になるとだんだん医療保険制度のこととかが解ってきて、がん患者が転院する理由だとか「学校では習わないこと」も次第に理解できてきました。するとやはり医者として患者さんのためにどんなことをしていくべきなのか、と考えるようになりますよね。ですから実家を継ぐにあたっても「そういった患者さんのために専門性をもった医療にしていくのはどうか」という発想になったわけです。
ただ、私が継いだこの病院というのは産婦人科でしたから、分野が全く異なっていました。つまりスタッフ構成の見直し、そして何より自分自身が緩和医療のスペシャリストになることが課題でした。
そこで私はまず国立がんセンターの研修生になりました。
そこで多くのがん患者さんと向き合う機会を得ることができました。
当時からがんの患者さんの転院というのは比較的ニーズが高かったんですが、病気の進行とともにだんだん専門性が高くなってくるということと、やはり重症な患者さんも多くいることが分かりました。
難しい患者さんになるほど在院日数も伸びる。しかし在院日数は減らせと言われている。
では、患者さんの本当のニーズとはなんだろうか。
「長期に入院させるよりも、在宅のマネジメントをして帰れるときは家に帰れること」。そして「何かあった時はすぐ入院ができること」。そういう仕組みがいちばんニーズに合っていると感じたんです。
このニーズに応えていくためには、やはり自分たちで訪問看護ステーションをつくって、自分たちで訪問診療をするということがいちばんだろうと。これがまず原点ですね。
——調子が良ければ家に戻り、また悪くなればすぐ入院することもできるという体制ですね?
そうです。患者さんにとって、こういう選択肢もあっていいんじゃないかと考えました。
でも、これを実現するためには介護保険制度の仕組みなども理解しておく必要がありました。でも畑違いでまったく知識がない。そこで自分でケアマネジャーの資格を取って勉強して、訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所も自分たちでつくりました。また、地域連携、医療・介護関係者とのネットワークづくりも選択肢作りのひとつとして行っています。地域の医療機関と緩和ケアネットワークミーティングや杉並緩和研究会などを設立したのもその一環です。『体制づくり』は『仲間づくり』でもありました。
いろんなことを考えて、いろんなことを試して、の繰り返しです。こうしたなかで、私たちにとっていちばん大事なのは「理想的な緩和医療を行うためにはどうしたらいいのか」ということ。どんな医療も1人でできるものではありません。私たちの理念をしっかりと伝え、共有していくことが大事だと思っています。
こうやって色々と考えたり、試したり、悩んだ末にたどり着いたのが「自分たちで緩和ケア病棟をつくろう」でした。
そこからは病棟の在り方や病床数などを検討したり、有名な緩和ケア病棟を視察させていただいたり。目指す病棟の姿が見えてきたら、今度はその実現のために病院を新築しなければならなくなったり。でも、しっかりやろうとするとどれも疎かにするわけにはいきませんでした。
「良い緩和医療」のために、患者・ご家族に必要な選択肢を用意する
——先生が考える「理想的な緩和医療」とはどんなものですか?
そうですね。まず前提として、世の中には同じ症状の患者さんはおられません。ですから緩和医療とひとくちに言っても色々なカタチがあって良いと思っています。そうした選択肢が増える事自体が、患者さんご自身とご家族のためになると思っています。
「良い緩和医療」とは「いかに選択肢が多いか」だと思うんですね。
そもそも、がん治療にはいわゆる標準治療というものが存在していて、大筋の治療プロセスが決まっています。
一方、緩和医療はというと「標準」を定めるガイドラインを作ること自体が難しい状態です。たとえばどこまでが治療でどこまでが延命治療なのか、本人や家族の考え方はどうなのかといった点で大きな差が生まれてしまうんです。
緩和ケアの元となったホスピスケアは、キリスト教の精神から始まっていることもあって「ナチュラルに」「自然の流れを大事に」という思いが強かったんだと思います。
もちろんこうした方針はたくさんの患者さんの救いとなっていて、とても大事なものです。
でもその一方で「少しでも良い状態を長く」と願う患者さんも少なからずおられるわけです。そうした患者さんが選ぶ選択肢が用意されていること。その時々に合った治療法を選択できること。こうしたことも大事じゃないかと思うんです。
理想というととても高尚なものに聞こえてしまいますが、他の医療機関や先生方と連携してこういう多彩さを実現できればと思っています。
その中のひとつの病院として、私たちは「積極的な緩和医療」というものを掲げています。
これは不必要な治療までどんどんやるという意味ではなく、患者さんやそのご家族としっかり話し合い、「患者さんがより良い状態になるよう」できることを検討し、してあげたいという気持ちです。
でも選択肢を持とうとすると、制度的な課題も出てきそうですね。
最近は、化学療法も進歩して、分子標的薬など患者さんが亡くなる直前まで服用するケースも少なくありません。
しかしながら、現行の保険制度上では緩和ケア病棟において化学療法を継続することは困難です。
そのため、時代の変化に対応するには一般病棟と緩和ケア病棟をコラボレーションさせて、緩和ケアを提供する必要があると考えました。
地域の医療機関と連携し、自分たちができることをする~すべては求められる医療を提供するために
——越川病院の公式ウェブサイトにも明記されていますが、「越川病院」の病床は全46床。うち34床が緩和ケア病棟で12床が一般病棟なんですよね。これはとても不思議な病床構成のように思えますが。
そう。実はこの12床も含めた全部が「緩和医療」を提供するための仕組みになっています。
越川病院では、入院される患者さんは緩和ケア病棟に入る前にまず一般病棟に入院し、いろいろな検査をしてから緩和ケア病棟に移ることになっています。
症状マネジメントをきちんと行うためには、まず症状を正しく把握しなければなりません。何か起こってから検査するのではなく、起こらないようにチェックをしていくというのが私の考え方です。その最初のチェックをこの一般床で行っています。
そして、この一般床があることで、患者さんにとって「より良い状態へ」の治療が可能になります。
たとえば「中心静脈にラインを入れるかどうか」などにしても、そのメリットやデメリットをきちんと説明し、患者さんが選べるように。イニシアチブを取るのはやっぱり患者さんやご家族だと思うんです。
そうやって患者さんとご家族が求めたもので、我々が提供できるものがあれば提供する。その選択肢が緩和ケア病棟では対応できないものなら、一般床で対応して、緩和ケア病棟へ送る。万が一救急対応が必要になった時も、この12床があれば命を救う処置ができる。他の医療施設との連携もできる。我々の医療にとって、この12床はとても重要な意味を持っているんですね。
--患者さんやご家族が「より良い状態になるため」の治療に手を尽くしていくこと、ですね。
私自身は、やれることがあればやってあげたい。助けられるなら助けたい。いくら終末期に近い状態でも。たとえば脱水で具合が悪くなったとして、補液して元気になるのであればやってあげたい。少しでも良い状態にしてあげたいですよ。
私は、この病院では「自分の家族だったらここまでの医療はしたい」と思うモノ・コトをしていければと思っています。
もちろん過剰な医療を提供する気はないんですけども。自分が家族だったらしてもらいたい医療ができない病院にはしたくないと思っています。私自身は、良い状態を長くするということを念頭に治療をしています。患者さんやご家族にも「お看取りすることが仕事ではありません」とちゃんと話します。やはり少しでもいい状態を長くしてあげたいし、たとえ終末期だって良い状態で長生きして欲しいと思います。
もちろん、いろんな考え方があるから賛否両論あるかもしれません。ただ私たちは方針や考え方をきちっと丁寧に説明して、治療に当たることを大切にしているということですね。
たとえばどこまでが治療で、どこまでが延命かといったところまで話します。そのためにもケースワーカーだけではなく、必ず私か医師が対応するようにしています。この説明がとても重要なんですよ。
もし、こういった医療を望まなければ、静かに過ごさせてくれるホスピスだってあるわけですから。そういう病院を自分たちの手で探し、紹介します。この地域にも多くの医療機関があり、先生方がいてくれます。それぞれが連携して、それぞれの方法で地域の医療を支えていますから。私もよくいろんな先生方に相談しますよ。そういう体制ができているからこそ、患者さんは多彩な選択肢をもつことができるんです。これが大切なことであり、「越川病院」はそうした選択肢のひとつなんです。
求められる治療を提供しようと思えば思うほど、地域にある他の医療機関のことを知らないと、自分達が何に特化して医療を提供していくのかは見えてきません。専門性は大切ですが、専門性だけを追求することよりも、周りの中で自分たちの存在意義はどこにあるのか、どう貢献していくのかをきちんと捉え、考えることが大切だと思います。
「どういう医療が良い医療か」という点については、当院の医師の間でもよく議論になります。
でもやっぱり「家族とよく話すこと」が大事だと話しています。なにが最良なのかは我々だけでは絶対に決められないものだから。多くのご家族にとって、家族の具合が悪い時に何もして上げられないのは辛いことなんだと思いますよ。
そういった患者さんやご家族に「やれることはコレとコレです。どうしますか?」と提示していくこと。それが「選択の医療」ではないかと思います。そしてこの越川病院は「やれることは提供してあげられる土壌にしておきたい」ということ。これが私の気持ちなんです。
「越川病院」で行われる緩和医療
——越川先生が考える「より良い医療」が「いかに選択肢が多いか」というお話、だんだん理解出来てきた気がします。緩和医療を受ける患者さんやそのご家族にとって「医療の現場」「病気の現場」は「生活の場」とイコールだと考えます。そのあたりはどうお考えですか?
本当にその通りだと思います。
たとえば、この新病院を建てるときにコンセプトとした要素がいくつかあって、そのひとつが「臭気対策」です。ニオイはいちばん大きな負担になりかねません。病室には換気扇をふたつずつ設置していて、常に陰圧がかかるようにしています。自然換気ができるように、ということですね。
それから「陽の光」。個室の半分くらいはベッドごとテラスに出られるようになっています。やっぱり陽の光を浴びたいんですよ。
もうひとつ大事にしていることがあります。それは、亡くなった患者さんも「正面」から退院していただくということ。
もちろん正面玄関だと外来の患者さんも居られますので配慮が必要になるんですが、当院では退院のための出入り口を別に設けてあるんです。ちゃんと「正面」から帰れるように。
この病院を建てるときに、全国の有名なホスピスをたくさん視察させていただきました。ニューヨークまで行きました。それぞれの施設が心を尽くして環境づくりを行っていて、本当に大切な勉強をさせていただきました。その中で、特に参考にさせていただいたのが淀川キリスト教病院のホスピスでの取り組みです。そこでは亡くなった患者さんも正面から退院するんです。越川病院では午前中は一般診療を行っていますので、亡くなった患者さんを一般診療の患者さんの前にというわけにはいきません。でも私は亡くなった患者さんを裏口から帰らせるようなことはしたくなかった。本当は正面玄関がベストなんでしょうけれど、いろんな配慮をして玄関ではなく「正面」から退院できる病院として設計しました。
私たちは緩和ケア病棟を作るために病院を建て替えました。ですから、私たちにとってはこれも絶対に疎かにしてはいけないことだったんです。
患者さんの中には予期せぬ急変でそのままお亡くなりになる方もおられます。そうした患者さんやそのご家族にも、ちゃんと誠意をもって臨まなければならないと思う。本当に、予期せぬ死が訪れることもあるんです。そうした患者さんやご家族にも、少しでも「よかった」と思ってもらえるようにするのが私たちの使命だと思っています。
「緩和医療」のこれから
——今後の緩和医療と関係が深くなると思われるのが在宅でのケアだと思われます。先生はどうお考えですか?
私がいつも患者さんにお話ししているのは「少しでもいい状態を長くしましょう」ということ。そして「悪くなった時に慌てない対応をするために準備しましょう」ということですよね。
当然、どれだけ症状緩和を行っていても、いつか具合が悪くなる時が来ます。そのときに、その人らしくするためにはどうしたら良いのか。つまり入院が良いのか、在宅医療を行うよう調整していくのが良いのか。そういうことを最初の段階からある程度聞いて、決めておくんです。そういう準備も必要なんですよ。患者さんには「難しいけどできる範囲でやりましょう」と話します。
在宅での医療、そして看取りは素晴らしいものかもしれませんが、「病状とマンパワーのバランス」に留意する必要があると思います。
ある一線を超えてしまうと、ご家族への負担がどんどん大きくなってしまいます。こういうときの助けになれると良いですよね。
たとえば緩和ケアを受けている患者さんにも、具合が悪かったら「明日入院しましょう」と言ってあげられること。そういう体制をもっていること。それが私たちにとっては大きな意味を持っています。
ですから当院には一般床のベッドがあるんですね。何事があっても対応できるように。より良い状態にしてあげるために私たちがとった方法がこれだったんですね。
そして、今後は地域の医療機関や先生方との連携がもっともっと重要になると思います。
私どもの病院には、いまドクターが6人いて、内科も外科もいますので大概はなんとかなります。でもどうしても、という時はあります。そういうときは地域の病院同士の連携がありますから、他の科の先生に応援をお願いします。そのかわり、ターミナルのケースでもなるべく早くお引き受けして、地域のみなさんにとって良い効果が生まれる関係をお互いに築いていくこと。そういう連携が重要になっていくと思います。
たとえそれで2カ月、3カ月しか時間を作ってあげられなかったとしても、その時間がどういう状態なのかが、私はとても大事だと思うんです。
ずっと意識がなくて寝たきりだったら何もできないけれど、もしかしたらその2カ月の間に人生の整理などができるかもしれない。やれることは提案していくこと。私どもでできないことがあれば、転院してやりますか、と提示すること。できること。そういう時に相談させてくれる他の病院や先生方がいて、つながってくれていること。それが「良い医療」だと思っています。
ですから、当院で対応できない場合は次のステップを用意します。その事情を十分に説明して、対案を提示する。それが大事だと思っています。
こうした動きの中で、私たちがいま取り組んでいるのが介護施設との連携です。
たとえば緩和ケア病棟に入院するほどではない、でも家に帰るにはマンパワーがないという方々を支えるためですね。協力してくれる特別養護老人ホームもありますし。これからどんどん変わっていきますよ。こうした連携も今後重要になってくると考えています。
では、今後「緩和医療」に関わるであろう若いドクターたちに向けてメッセージをお願いします。
そうですね。まず、改めて伝えたいことは「緩和医療」は看取るだけの仕事ではないということです。看取りというのは医療の大切な仕事のひとつですが、それだけではないんです。
超高齢社会といわれるこれからの社会では、「緩和医療」を必要とする患者さんや家族がさらに増えて行きますし、若い三十代・四十代の人たちの、いちばん脂が乗っている人たちが十分情熱を持って取り組むべき仕事だと思います。
少しでも良い状態にしてあげること。そういう選択肢を選ぶことができる医療を提供すること。
それが「緩和医療」の務めだと私は思います。ホスピスや他の医療機関と連携して、それぞれが行うべき分野をしっかりと支え、患者さんにより良い医療とより良い状態を提供していくことが大切なんだと思います。そして、そのためには「緩和医療」に関わり、支えてくれる医師がもっともっと必要になっていくと思います。私はとてもやり甲斐のある領域だと思いますよ。
そして、もうひとつ。
他の分野もそうなんですが、やはり医療は1人では難しい仕事だと思います。
当院も6人の医師がいてくれるからやっていける。これが1人だったらボロボロになるんですよ。
看取りを当番制にしても、週に1回くらいで済む。
病院から応援を頼まれることもありますが、毎日にはなりません。
24時間1人で出動はできないですよ。
使命を果たすためには、箱物を作って、仕組みを作ることも大事なんじゃないかと思います。
いくらドクターとしての志が高くても、1人ですべてを行うのは難しいと思います。たとえば在宅の先生方で組織を作るのも良いでしょうし。これからしっかり向き合っていこうと言うなら、そういう方法論の検討も視野に入れるべきかもしれません。
日本ではいま、3人に1人はがんで亡くなると言われています。緩和医療は分野としてはまだ小規模かもしれませんが、多くの患者さんやそのご家族が緩和ケアやそれに関わるサポートを必要としています。高齢化がさらに進めば、緩和医療の専門医でなくても緩和ケアについてある程度理解しておく必要も出てくると思われます。「緩和医療」は今後変わっていく領域であり、皆さんの手で変えていける領域です。患者さんにより良い状態を提供するために。若い皆さんの力が必要になっていくと思いますよ。
(聞き手・佐々木 裕)
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- 越川貴史(こしかわ・たかふみ)
- 医療法人社団杏順会越川病院理事長・院長。
1995年に日本大学医学部を卒業後、日本大学第三内科学教室に入局。2001年より現職。現職就任後、2003年から5年間、国立がんセンター中央病院緩和ケア科にて研修生として勤務。所属学会は、日本緩和医療学会(認定指導医)、日本内科学会、日本消化器学会、日本内視鏡学会、医療マネジメント学会。日本緩和医療学会代議委員、東京都区西部緩和ケア連携推進事業運営委員、杉並区がん対策部会委員、杉並区介護認定審査会委員のほか、2015年より学校法人慈恵大学付属病院緩和ケア診療部非常勤診療医長を務める。
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