ニッポン病院食堂紀行

【第1回】東京・文京区|オークラカフェ&レストラン メディコ

絶好の眺望と、一流ホテルの味とおもてなし

病気と闘う患者さんや医療スタッフを陰ながら支える病院食堂。かつて病院の食堂といえば質素で地味なイメージがありました。しかし、現在はインテリアやメニューの彩りにも気を配り、レストランやカフェのように明るい雰囲気の店舗が全国各地に増えています。一流レストラン顔負けの豪華ランチプレートを提供する店や、スタイリッシュなインテリアが注目される食堂もあり、話題に事欠きません。また、生活習慣病に悩む人が増える現代では、病院食堂の健康的なレシピにも注目が集まっています。本シリーズでは、そんなバラエティ豊かな病院食堂の魅力を紹介します。

今回紹介するのは東京医科歯科大学医学部附属病院の最上階にある「オークラカフェ&レストラン メディコ」。病院食堂でありながら一流レストランの味を楽しめる、隠れた人気スポットです。

※記事内の価格はすべて消費税込みの価格です。また、掲載している内容はすべて取材当時のものです。その後変更されている可能性もありますので、ご了承ください。

 

1.東京医科歯科大学医学部附属病院とオークラカフェ&レストラン メディコ

001

東京医科歯科大学M&Dタワー(左)と東京医科歯科大学医学部附属病院(右)

 

1928年に設立された東京高等歯科医学校にルーツを持ち、長い歴史を誇る東京医科歯科大学。多様性を尊重する伸び伸びとした教育と豊富な症例を経験できる環境から、医師からの評価も高く、研修先としてトップクラスの人気を得ています。

今回訪問した「オークラカフェ&レストラン メディコ」は、その東京医科歯科大学医学部附属病院の最上階に位置します。病院食堂でホテルオークラの味を手軽に楽しめるとあり、ひそかに話題になっているスポットです。

 

002

 

レストランの扉にはホテルオークラのシンボルでもある「イチョウ」のモチーフが描かれ、店頭にはおすすめメニューが並びます。店頭はお客さまを出迎える場所なので、季節感を意識しこまめに模様替えを行っているとのこと。この日はカボチャや木の実が飾られたハロウィン風の装飾があり温かい雰囲気です。無機質になりがちな病棟の中で、心がほっとする空間に出会えました。

メディコでは一般患者・病院職員含めて平日は150名前後、土日祝日は50名前後の利用があります。そのうち勤務医の方の利用は1日平均5人程度で、常連の先生もいらっしゃるそうです。平日は20時、土日祝日も17時まで営業している点も、人気の理由の一つでしょう。宴会などの貸し切り予約にも対応しているため、忘年会・新年会が増えるこれからのシーズンは賑わいそうです。

なお、ホテルオークラグループは東京医科歯科大学医学部附属病院のほか、九段坂病院や茨城県の土浦協同病院にも病院食堂「メディコ」を展開しています。

 

2.東京スカイツリーを望む絶景と、ホテルクオリティのおもてなし

003

 

東京スカイツリーを望む一大パノラマと、ホテル系列店ならではのおもてなしがメディコの大きな魅力。店内はホテルのレストランよりもカジュアルなつくりですが、鮮やかなワインレッドのテーブルクロスで落ち着いた雰囲気にまとめられています。店内にはホテルオークラのギフトを購入できる売店ブースがあり、この売店を目的に来店されるお客さまもいらっしゃるそうです。入院のお見舞いにも使えるので便利ですね。

 

004

 

一面の窓からは明るい日差しが差し込み、眼下には東京の街が広がります。テーブルに置かれたメニューには眺望ガイドが付いており、上野公園や浅草、神田明神などのランドマークを確認できました。晴れた日には筑波山が見えることもあり、ちょっとした観光気分を楽しめるレストランです。夜はライトアップされた東京スカイツリーを眺めながら食事を楽しむこともできるので、窓側席の利用をおすすめします。

 

005

 

006

 

今回は特別に厨房の様子も見学させていただきました。スタッフの方々が真剣な表情で調理に取り組んでいます。このとき調理されていたのは「鰹のたたき御膳」(1,550円)。薬味で彩られた鮮やかな見た目が食欲をそそります。調理スタッフに話を伺うと、味はもちろん盛り付けにも妥協を許さない、料理に対する真摯な姿勢を垣間見ることができました。

「料理の見た目には、我々スタッフの気持ちが現れると考えています。やはり、見た目が雑になるとお客さまからの印象も良くありません。また、料理人の気持ちが入ってないと感じれば、どんなにおいしいものもおいしさが半減してしまいます。盛り付けとは『料理の味の一部』だと考えて、一品一品心を込めて調理しています」(調理スタッフの方より)

厨房で作られた料理は、ホールスタッフの手によって手際よく配膳されていきます。ホールでは年配のお客さまの着席をスタッフの方がさり気なくサポートするシーンもあり、ホスピタリティの高さがうかがえました。物腰柔らかで落ち着いた接客が印象的でした。

 

3.軽食から豪華ランチまで、バラエティ豊かなメニュー

メニューは軽食からサイドメニュー、ランチ、デザートまで豊富に取り揃えられています。洋食はもちろん「ねぎまぐろ御膳」「天ぷら御膳」などの和食メニューも充実している点がメディコの特徴。メニューは定期的に更新されるため、新しい料理を楽しみに訪れるリピーターも多いそうです。

 

007

 

特に2017年10月にリニューアルしたばかりの2種のランチセットは、スタッフイチオシのメニュー。がっつり系の丼ものがメインのAランチ、ヘルシーなサラダとパスタを組み合わせたBランチがあり、その日の気分に合わせて選べます。

また、お店で毎日仕込んでいるというなめらかプリンも隠れた人気メニューの一つです。一度食べたお客さまのほとんどが、来店の度に注文するリピート率の高い逸品。濃厚なのにしつこくない絶妙な味加減が人気の秘訣だそう。

 

008

 

そして病院食堂といえば、職員割引などの利用メリットも気になるポイント。メディコでは病院職員がいるグループに対して、グループ全員に食後のデザートとコーヒーのサービスを行っています。現在は職員限定ランチプレートを計画中とのことで、職員向けのサービスはますます充実していく見込みです。

 

4.実食! ホテルオークラの味を病院食堂で

それではいよいよ、メディコで楽しめるホテルオークラの味をご紹介します。今回紹介するのは「オムライスオークラ風」「エビフライタルタルソース」「国産豚肉のカツカレー」の3品です。

オムライスオークラ風

009

 

010

 

平日限定の「オムライスオークラ風」(1,300円)は幅広い年代から人気を集める定番メニュー。鶏肉、パプリカ、ズッキーニなど具沢山のチキンライスを玉子で優しく包み、ホテルオークラ特製のデミグラスソースをたっぷりとかけた逸品です。デミグラスソースの赤、玉子の黄色、パセリの緑と彩り豊かで、目でも楽しめる料理となっています。

 

エビフライタルタルソース

011

 

012

 

20センチはあろうかという尾頭付きエビフライが3尾も乗った「エビフライタルタルソース」(2,400円)はボリュームたっぷりでインパクト大。サクサクした衣とプリプリと弾ける海老の食感がたまりません。頭から尻尾の先までカラリと揚がっているので丸ごとおいしくいただけます。

 

国産豚肉のカツカレー

013

 

014

 

「国産豚肉のカツカレー」(1,650円)は野菜の甘味と旨味が凝縮されたまろやかな味わい。辛さは控えめですが、スパイスの香りがしっかりと効いています。カツはサクサクした食感で、エビフライ同様にボリュームがあります。グレービーボートで提供されるカレールーは高級感があり、「ホテルオークラの味」に対するこだわりが感じられます。

また、メディコではドリンクメニューも豊富です。コーヒーや紅茶、ジュースのほかワインやビールなどアルコールの用意もあります。宿直明けにちょっと一杯……なんてこともできますね。

 

015

 

今回は鹿児島県徳之島の特産品“野生の島みかん”ことヤマ・シークニンを使った「シークニンソーダ」(540円)をいただきました。鮮やかなイエローグリーンとブルーのコントラストはカクテルのような美しさ。ビタミンCが豊富でレモンに似た酸味があり、すっきりとした味わいが特徴です。都内でも珍しい商品なので、見かけた際はぜひ味わっておきたいドリンクです。
※現在「シークニンソーダ」は販売を終了しています。

 

016

 

このほかにも「国産牛肉のビーフシチュー」(3,300円)など、病院食堂ではなかなかお目にかかれないリッチなメニューも並びます。東京スカイツリーを望む一大パノラマを前に絶品料理を味わっていると、ここが病院食堂であることを忘れてしまいそうでした。

もちろん、メディコには病院食堂ならではのさまざまな取り組みもあります。例えば、食事制限や味付けについてはお客さまの要望に応じて対応可能。病気による制限があっても、ホテルオークラの味を基本としたメニューが楽しめます。さらに同大学の歯学部附属病院と連携した「やわらか食」企画も進行中です。この企画は「多様なお客さまにお食事を楽しんでいただきたい」という目的のもとスタートしましたが、同大学歯学部附属病院と提携できるのはメディコならではの強みと言えるでしょう。

 

5.「病と闘う患者さまや先生方の力になりたい」

017

 

東京スカイツリーを見渡す眺望、そしてホテルクオリティのお料理とおもてなしが魅力の「ホテルオークラレストラン&カフェ メディコ」。最後に、スタッフの方からいただいた読者の皆さまへのメッセージをご紹介します。

「『お客さまに如何に満足していただくか』、我々が日々行なっている事の全ての根源はそこにあります。その一本柱を何があっても決してぶれさせないことが調理・接客諸々に通じるこだわりです。

また、お客様から寄せられた料理に対する満足の声はもちろんですが、『ゆっくりできた』『ここに来ると気が休まる』といった言葉は本当に嬉しいです。何かしらの病と闘っている患者さまや先生方にとって、わずかでも力になる事が出来れば、それは病院食堂として大変喜ばしいことです。

私たちは皆さまに愛されるレストラン・カフェを日々目指しております。どんな些細なご意見やご要望も我々にとっては大きな宝です。皆さまが笑顔になれる店として、スタッフ一同ご来店を心よりお待ちしてます。」

 

6.店舗情報

オークラカフェ&レストラン メディコ

住所:
〒113-8510
東京都文京区湯島1-5-45
東京医科歯科大学医学部附属病院(御茶ノ水)16F

営業時間:
平日11時~20時
土日祝12時~17時
※貸切により閉店が早まる場合や、終日閉店する場合あり

 

【関連記事】
「東京恋愛百景~都会の夜と独身こじらせ医師たち」雨月メッツェンバウム次郎 氏(某病院勤務 消化器外科医)
「Dr.石原藤樹の「映画に医見!」|【第1回】チーム・バチスタの栄光~キャラ設定が抜群の術中死ミステリー」
「時空を越えて求人票が届きました。|第8回 修道女ヒルデガルトの右腕となる医師募集」

 

ページの先頭へ