プロの転職コンサルタントが教える!
医師転職テクニック集
~準備編~

転職に興味があっても、転職先の選び方や面接の受け方がわからないという先生も多いのではないでしょうか。そうした先生方のために、転職のプロであるコンサルタントが、医師転職のノウハウをご紹介します。準備編では、応募する医療機関を決定するまでの流れを説明します。

ステップ1:自分の転職理由を分析してみましょう

大切なのは、先生ご自身が「なぜ転職する必要があるのか」を明確にすることです。
コンサルタントに寄せられる相談の中で多いのが、「人間関係」についてや、「忙しすぎるので転職したい」というものです。詳しくお話を伺っていくと、本当の理由は別のところにあることも少なくありません。このように、ご自身の意識の中で顕在化している転職理由と、本当に変えなければいけない事柄に乖離があることは決して珍しくありません。
例えば、「忙しい上に院長とそりが合わないから転職したい」という先生に詳しくお話を伺っていくと、「院長からの評価が低く、働きに見合った給与が出ない」ことが問題であり、先生が解決をしたいと感じている課題は給与や不公正な評価だということが分かったりします。先生ご自身が「人間関係の問題」と感じていることが、実際には複数の別の問題を内包していたりするわけです。こうした転職理由や動機に関する深掘りを怠った転職活動は非常に危険ですし、失敗する可能性が非常に高いです。転職する根本的な理由、根っこにある問題を明確にできないまま転職してしまうと、その問題を解決できる転職先を選ぶことができず、次の職場でもまた同じ問題を抱えてしまうことがあります。そのため、まずはご自身が転職する理由をしっかりと掘り下げて分析し、明確にすることが大切です。

実際に、プロのコンサルタントが転職のお手伝いをさせていただく際には、最初に1時間から2時間ほど話をお聞きし、その後継続的にメールやお電話でやりとりを重ね、その先生が転職をしたい理由、根っこにある問題をかなり時間と労力をかけて明らかにしていきます。転職理由の明確化とは、それだけ納得のいく転職を成功させるためには重要であり、抱えている潜在的な問題を顕在化して、問題を解決できる求人をご紹介するのが、コンサルタントの役割なのです。

ですから、転職活動を検討する際は、「なぜ転職したいのか」を掘り下げて考えてみることをお薦めします。
たとえば、「人間関係」が現在の先生の主要なストレスであるならば、次に「なぜ人間関係に問題を感じるのか」と考えてみます。その答えが「上司と考え方が合わないから」であれば、それが医療上の方針によるものなのか、あるいは単に人間的な相性なのか、上司からの評価にあるのかといったことを考えていく……。このような形で深堀り、悩みを具体化していきます。
こうして明らかになった「根本的な問題」が、転職せずに解決できるものであるならば、「転職しない」という選択肢もご検討ください。確かに転職とは、現在の先生の環境を改善するための一つの手段ですが、安易に行うものではありません。

転職理由を掘り下げて、「医師としてこういう診療をやりたいから」「給与をもっと伸ばしたいから」など、具体的なポイントを明らかにできれば、求人を比較検討する視座が明確になり、転職後に「やっぱり合わなかった」と後悔するリスクも減らすことができます。

 

ステップ2:希望条件を整理しましょう

転職理由をしっかりと把握できたら、次は転職先の医療機関に求める条件を整理してみましょう。

下記の点について、まずは思いつくままに書き出してみてください。

○病院に求める条件
希望する給与や勤務地、職務内容、勤務時間など
○将来のビジョン
自分がどのような形で医療に従事していきたいか。また、5年後、10年後、20年後にどのような人生を歩んでいたいか。
○家族の構成や、今後予想されるライフイベント
家族や親戚(両親・兄弟等)の構成、職業や年齢を書き出して、将来起こりうるライフイベントやターニングポイント(結婚、出産、育児の開始、子どもの進学、介護の開始、親からの病院やクリニックの承継、引退等)をできる限りピックアップしてみます。

転職となると、つい給与や福利厚生など、勤務先の条件面にばかり注目してしまいがちです。ただ、本当の意味で自分に合った勤務先を選択するには、将来起こりうるライフイベントも考慮することをお勧めします。

例えばご両親が高齢で、遠くない将来に介護が必要になりそうな場合、ことによっては早期退職を考える必要があるかもしれません。そうした可能性を考慮し、バックアップを得やすい医療機関を選択することは、将来に向けての一つの安心材料になります。

上記のように、いろいろな要素を書き出すことは、一見すると無駄に思えるかもしれません。しかし、将来を見越して適切な転職先を選択するためには、ぜひ一度ご自身の周辺状況を整理し把握した上で、希望する条件を決めていきましょう。

 

ステップ3:条件に合う求人を複数ピックアップしましょう

希望する条件を明らかにしたら、いよいよ転職先の候補のピックアップです。
ここで大切なのは、必ず複数の求人を比較検討した上で絞り込むということです。現在の自分に開かれている可能性を網羅的に検討せず、1件の医療機関に決め打ちで応募し、結果失敗することは、医師の転職活動において多い印象を受けます。複数の候補先を検討しないで、その医療機関が本当に自分にとって最良の選択肢であるのか判断がつくのでしょうか? 転職活動を行う際は、ぜひ複数の医療機関を比較検討してください。

実際、コンサルタントに転職活動のサポートを依頼すると、まず多数の医療機関を、先生の希望を実現できる候補をフィルタリングします。その上で、複数の医療機関の見学や面接を並行して設定することで、現時点での最良の選択肢を絞り込むという進め方をすることが多いです。紹介会社に依頼をせずに個人で転職活動を行う場合、多忙のさなかたくさんの医療機関を調査することは大変かと思いますが、できる限り幅広い選択肢を用意した上で、絞り込まれることをお勧めします。

医師転職テクニック集「準備編」のポイント
  1. その1.自分の転職理由を分析する
  2. その2.希望条件を整理する
  3. その3.条件に合う医療機関を複数ピックアップする

(文・コンサルタントM)

 

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