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【特集】今さら聞けない「医師の働き方改革」

第2回:「医師の働き方改革に関する検討会」で話されたこと。その論点とは?

現在、2024年の施行を目指して「医師の働き方改革」の検討が進んでいます。
医師の働き方において、何が問題とされ、どう解決しようとしているのか。医師の過重労働に依存した医療提供システムから脱却できるのか。「エピロギ」では、5回にわたり「医師の働き方改革」に関する国や医療関係団体の動きを紹介します。

今回は、医師の時間外労働の規制を中心に根本的な医師の働き方や現場の課題を検討する厚労省の検討委員会「医師の働き方改革に関する検討会」の議論のポイントをお伝えします。

 

 

「医師の働き方改革に関する検討会」始動~あらためて浮き彫りとなった医療現場の実態と問題点

「医師の働き方改革に関する検討会」の第1回が開催されたのは2017年8月2日。会の冒頭、塩崎厚生労働大臣(当時)は、「医師の時間外労働規制の具体的なあり方を決めるのがこの検討会のタスクであるが、医師の勤務環境改善策を推進することで、医療の生産性向上と医療の質の維持と向上を進めながら医師の働き方を改善していくことも同時に重要である」と、この会での検討事項を述べている。
参考:「2017年8月2日 第1回医師の働き方改革に関する検討会 議事録

■「医師の働き方改革に関する検討会」検討事項
①時間外労働規制の具体的な在り方
②医師の勤務環境改善策
③その他

出典:「第1回 医師の働き方改革に関する検討会 開催要綱

 

今後検討会での議論・検討が必要とされた4つの事項

それでは、実際に、検討会はどのような形で進んだのだろうか。第1回で示された検討事項に基づき、以下の4点が話し合われた。なお検討会の基本的なスタンスとして、現状を踏まえつつ新しい制度や働き方も含め「医師の働き方」について議論をすること、一般の病院の勤務医は労働基準法上の「労働者」であることを前提に議論することとしている。
参考:「第2回 医師の働き方改革に関する検討会 議事録

1.医師の勤務実態の正確な把握と労働時間の捉え方
勤務実態の精緻な把握をした上で、宿直や論文執筆や学会発表などの自己研鑽や研究の時間を含め、労働時間をどう算定するか。

2.医師の勤務環境の改善策
・医師の診療業務をどう効率化するか。タスクシフティング(業務の移管)やタスクシェアリング(業務の共同化)、またAIやICT、IoTの活用や仕事と家庭の両立支援といったその他の勤務環境改善策の検討。
・勤務環境改善を推進・確保するために、労働時間の管理の仕方、勤務環境改善センターなどとの連携、女性医師の支援などを含めた支援体制をどうするか。

3.関連して整理が必要な事項
医師の応召義務はどうあるべきか。また、適切な地域医療提供体制の確保との関係についてや、医師の労働時間の適正化への国民の理解の必要性について。

4.医師の時間外労働規制等のあり方
医師の時間外労働規制の上限や健康確保措置はどうあるべきか。その際医療の質と安全確保との両立のさせ方はどうなるか。

参考:「医師の働き方改革に関する検討会における主な論点案(第2回検討会における議論を踏まえた更新版)」「第2回 医師の働き方改革に関する検討会 議事録

 

重ねられた実態把握と中間報告

これらの検討を進めるなか、2017年10月の第3回検討会で、医療機関における医師の勤務実態についてのヒアリングが行われ、続く11月の第4回検討会では医療機関における勤務環境改善の取り組みについて、12月の第5回検討会では勤務医の健康確保についての有識者ヒアリングが行われた。2018年1月の第6回検討会ではタスクシフティングについてのヒアリングが行われた後、中間報告の骨子案がまとめられ、2月の第7回検討会で最終調整を経て、2月27日に「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組*」と検討会での「中間的な論点整理」がそれぞれ公表された。

なお、最終報告は2018年度末を目処にまとめられる予定である。

*:労基法の改正を待たずに取り組むべき事項という位置づけで、都道府県や病院団体等を通じて各医療機関に周知、各医療機関で、できるものから速やかに実行することを求めていくことになった事項

■各検討会詳細

第1回検討会(2017年8月2日):
働き方改革実行計画を踏まえた時間外労働の上限規制を確認し、医師の勤務実態にかかわる各種調査のデータが提出された。それらを踏まえ医師の働き方改革についての自由討議が行われた。その他資料として、有識者による「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書が提出された。

第2回検討会(2017年9月21日):
労働基準法上の労働時間法制について、現状の法制度についての整理が行われ、過去の裁判事例を踏まえて議論がなされた。また医師の勤務実態について、総務省による全国の医師約10万人に対する「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」結果をもとに議論がなされた。

第3回検討会(2017年10月23日):
外科医、産婦人科医、小児科医各学会が過去に行った勤務時間についての実態調査紹介、自己研鑽の状況をまとめた資料の説明がされた。その後、医師の勤務実態を把握のためのヒアリングとして、後期研修医、大学病院勤務医、大学病院に勤務する女性医師、市中病院勤務医より、勤務実態、長時間勤務の要因、時間外労働の上限規制や自己研鑽の必要性、勤務環境改善策に関する意見等の発表がなされた。

第4回検討会(2017年11月10日):
医療界での勤務環境改善の取り組み状況全般、日本医師会での取り組み、日本医師会女性医師支援センターの取り組み、全国医学部長病院長会議加盟病院での調査結果、四病院団体協議会加盟病院での調査結果、全国自治体病院協議会加盟病院での調査結果が報告された。

第5回検討会(2017年12月22日):
東京過労死を考える家族の会による医師の過労死についての報告、社会保険労務士総合研究機構による労務管理の研究、若手医師の本音を紹介することを目的に若手医師と医学生の有志であるAdvocacy team of Young Medical Doctors and Students(AYMDS)による「壊れない医師・壊さない医療」提言が紹介された。

第6回検討会(2018年1月15日):
タスクシフティングの検討材料として、診療看護師(NP)を育成・活用している2病院の医師より、育成プログラムやチーム医療における診療看護師の役割についての報告が行われた。また、前回検討会で要望が出た、厚生労働省「病院勤務医の勤務実態に関する研究」班が進めている「タイムスタディ調査」(1分単位で医師の業務内容を記録。全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会の協力のもと、2019年3月までに100人程度のデータを収集予定)の先行報告がなされた。あわせて、これまでの議論に出た「国民・患者の理解」の事例紹介、調査途中段階であるが諸外国の医師の労働時間規制の比較、特定看護師の養成数等に関し事務局より報告があった。最後に、中間報告として「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」と「検討会での中間的な論点整理」それぞれの骨子案がまとめられた。

第7回検討会(2018年2月27日):
中間報告の検討、最終調整

参考:厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」各回議事録

次回は、検討会が公表した「中間的な論点整理」と「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」について、その概要を紹介する。

(文・奥田由意)

※本記事に掲載の情報は基本的に2018年3月5日時点のものです。

 

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