第2回 「資金力」の把握が、医師になれる確率を左右する!
藤崎 達宏 氏(子育てコンシェルジュ)
こんにちは! 子育てコンシェルジュの藤崎です。わが子が「医師になりたい!」と言い出した時のために、親ができる最大限の準備、第一弾は「資金力」です。
いきなりお金の話ですか? と思われる方もいらっしゃると思いますが、『医学部の高額な学費=医学部受験の特殊性』ですので、この問題は最初にお話しておきましょう。
医学部学費の現状と、新しい動き
こちらは言わずと知れた、私立医学部の6年間の学費のランキングです。
最も注目すべきは、1位の国際医療福祉大学です。2017年4月に国際都市成田に最新の医学部として新設されました。その金額は6年間で1,750万円。はたしてこの金額と、国際化を目指す方針が受験倍率にどう反映されるか。本年度の台風の目と言えるでしょう。
もう一つ、注目すべきことは昨今の医学部動向は「学費の値下げ」にある、ということです。
最初に学費を値下げしたのは順天堂大学医学部です。それまで一位であった慶應義塾大学医学部を退けて、最安値になったことを期に、受験者数も激増しました。ブランドイメージのアップも相まって、学生人気では「私立医学部四天王」などと言われるまでになりました。
そうした順天堂大学の動きに追随して、多くの私立医学部が学費値下げに踏み切りました。それが上の表で黄色く色付けした6大学です。
学費と偏差値の逆相関関係
一番のポイントは医学部においては「学費が安いほど、偏差値が高い」という「逆相関関係」にあるということです。
大学側から見れば、「学費を下げれば偏差値が上がる」ということです。優秀な人材獲得のために、学費を下げる大学側の事情はここにあります。
受験する側から見れば、「資金力があれば、医学部に合格できる確率が上がる」ということになります。
わが家はどこまで対応できるのか?
問題は「わが子が医学部を目指したい」と言い出したときに、資金的にどの段階まで対応できるのか? ということです。
■ 2,500万円がひとつの目安
上の表で言えば、7位の東邦大学2,580万円までです。
なぜならば、ファイナンシャルプランナーの視点から見て、勤務医を含む給与所得者が、税引き後の収入からの積立で捻出できる教育費の上限が2,500万円というのが定説だからです。
8位以降に続く医学部の学費、2,500万円以上、最高額の川崎医科大の4,550万円に至っては、開業医、会社経営者でないと不可能な次元の金額となります。
ここは、冷静に家族会議を開き、もし、わが子が医師になりたいと言い出した時の、わが家の方針を決めておく必要があります。ザックリと分けて、方針は下記の三つに分かれます。
■ 第一段階 国公立医学部のみ
年間60万円×6年間=360万円の国公立医学部以外は無理。
それが無理なら、浪人もしくは、私立の他学部を目指す。
■第二段階 国公立+私大医学部2,500万まで
国公立がダメであっても、私大医学部2,500万円クラスまでは可能とする。
■第三段階 医学部であればどこでも可
偏差値は高いに越したことはないが、資金的に余裕があるので、医学部であればどこでも可能。どこかに入って欲しい。
わが子の可能性を広げる親の新展開
いかがでしょうか? 現実は厳しいものです。しかし、資金力によって受けられる医学部の範囲が決まる現実は受け止めなくてはいけないですし、わが子が適正年齢になったときに、しっかりと向き合い、話し合うことは大切なことです。
現実と直面することから「新展開」も始まります。
- ・生命保険などに代表される固定費を見直し、家計を引き締める
- ・奨学金などの制度を検討する
- ・アルバイトを増やす
- ・条件の良い環境に転職をする
- ・医院開業に踏み切る
- ・開業後は法人化を検討する
- ・節税策を検討する
- ・相続・贈与対策を検討する
など、親として検討しなくてはいけないことが山のようにあります。こうした地味な一歩が、わが子が医師になるための確率あげることにつながっているのです。
これまで子育てのご相談を受けた医師家庭の中には、わが子が私立医学部を目指すための資金力を拡張するために転職をしたり、医院開業に踏み切る先生も沢山いらっしゃいました。会計事務所の提案をうけて贈与対策を充実させた先生もいらっしゃいます。
みなさん「わが子が自分から医学部を目指したいと言いだした時には、最大限の援助をしてあげたい」という気持ちは同じでした。
いかがでしょうか?
次回はいよいよ、親ができる最大限の準備第二弾、「学力」に突入です。
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- 藤崎 達宏(ふじさき・たつひろ)
- NPO法人 横浜子育て勉強会 理事長。
1962年横浜生まれ。外資系金融機関に20年間の勤務を経て独立。4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した個別相談会「お父さんもいっしょに幼稚園選び」のほか、全国の企業や団体などで子育てセミナーを行う。最近では各医師会や医師協同組合での講演を多数実施。取得資格は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定教師(0~3歳)/国際モンテッソーリ協会認定教師(3~6歳)。
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