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第9回 「頭の良さ」の基準が変わる!~大学受験、新試験制度のねらいとは

藤崎 達宏 氏(子育てコンシェルジュ)

ここまで、第7回(塾選び)8回(学校選び)と中学受験についてお話してまいりました。
さて、今回は、親御さんが最も気になり、現時点でも未だ不透明な「新試験制度(大学入試改革)」についてお話ししましょう!

 

求められるのは、数値化できない「非認知スキル」

ご存知の通り2020年より、現在の大学入試センター試験が廃止になり「大学入学共通テスト」が実施されます。新高校一年生から新しい試験ということですね。このことは連載の第3回でも取り上げています。

さまざまな憶測が飛び交う新試験制度ですが、過去最大の変革とも言われています。なぜならば、「頭の良さ」を測るために試験というものは行われるわけですが、この「頭の良さ」の基準が根本から変わるということなのです。

これまでは「正解をいかに早く、いかに正確に導き出すか」をもって頭の良さは測られてきました。言うなれば、学校や塾で暗記したことを、いかに試験会場で再現できるか? が問われていたのです。

しかし、今後の社会ではこうした「正解を導き出す能力」は、人工知能AIに取って代わられ必要なくなると考えられています。

これまでの、正解を導き出す力は、IQテスト、学力試験、マークシート試験での偏差値などで数値化できる能力「認知スキル」と言われています。

対して、人間だけが持つことができる能力は、数値化できない「非認知スキル」とされます。どういった能力かというと、コミュニケーション能力、肉体的・精神的健康、根気強さ、注意深さ、立ち直りの早さ、ストレス耐性、共感する力、チャレンジ精神、主体性、誠実性、段取りをつける、自信などです。

このような、人間だけが持つ数値化できない能力を計測するため、(矛盾しますが)新試験制度に移行する必要があるのです。

これらが、試験の方法が「記憶重視のマークシート試験」から、「アウトプット型の記述式・面接重視の新試験」に取って代わっていく背景です。

親として、この根本的な理由をしっかり腹に落としておく必要があるのです。
なぜならば、こうした社会のアウトラインをつかむことは、子どもには到底無理だからです。(子どもは今日も、目の前の与えられた環境の中で、一生懸命頑張っているのです!)

 

具体的には何がどう変わるのか?

では、これらの新試験制度で試される力とは何なのか。子どもが学力をつける際に何に気を付けなければいけないのか。親として押さえておくべきポイントをご紹介します。

1、「不得意科目」が致命傷になる

「一点刻みの一発勝負」で認知スキルを計測するための現在の試験制度は、「年間に複数回受験して、その中で一番良いスコアを採用する」制度に変革されます。この制度はアメリカのSAT(大学進学適性試験)制度をモデルにしています。アメリカでは高校時代に最高7回受験可能です。日本では、できても3回が限界とも考えられ、その施行も改革3年目以降といわれています。

試験制度がどう変わるか? まだ、不透明なことばかりですが、今から、ハッキリしていることは「不得意科目を作ってはいけない」ということです。

このことは第3回でも触れましたが、現在の「一点刻みの、一発勝負」であるセンター試験でも、国公立大学医学部に合格した学生の「平均点」が、90%を超えています。平均点で90%ということは、100%(満点)の学生もたくさんいるはずです。こうした優秀な医学部志望者が「複数回」受験して、その中から自分のベストスコアを選べるようになったら? 医学部クラスはみんな満点になってしまうことが予想されます。そう考えると、医学部志願者は、今以上に不得意科目を作れないことになります。

2、「思考力・判断力・表現力」が問われる

正解を正確に早く抽出する「認知スキル」を計測するための「マークシート試験」から、「思考力・判断力・表現力」といった「非認知スキル」を重要視するために、記述、面接、集団討論、プレゼンテーションといった試験制度に移行していきます。

イメージとしては、「就職試験に近くなる」と考えると分かりやすいかもしれません。

3、試験問題も教科の枠を超え「合教科・総合型」に移行する

非常に抽象的な表現で分かりにくいのですが、一言でいえば「学問を身近に感じられるか?」ということに尽きます。数学は数学、国語は国語、ではなく、日ごろ身近に起きた出来事や、社会的なニュースなどを、習得した学問を駆使して、どう捉え、仮説を立てて、自分なりの結論を導き、それをどう表現していくか? という総合的な能力を問う試験に変わっていきます。

4、英語で求められるのは「4技能」のバランス!

2020年に施行される「英語教育改革」については第4回のコラムでお伝えしましたので、詳しくはそちらを参照ください。非認知スキルの中心となる「コミュニケーション能力」として、グローバルな力を増進するための改革です。従来の日本の試験制度では、認知(計測)しやすい「読む、書く」の2技能中心の試験であったのを、「聞く、話す」の2技能のウエイトを増やし、「読む、書く、聞く、話す」の4技能のバランスをとった試験に移行していきます。しかし、これまでのような大会場の一発試験会場で4技能を測る試験を実施することは不可能なので、現在、4技能試験を実施している英検、TOEICなどに代表される「民間試験」を代用する方向で検討されています。

よく医師のご両親とお話ししていると、「英語なんてぇのは、所詮は暗記科目だから、中一から頑張れば大丈夫なんじゃない?」と、軽くおっしゃる方もよくいらっしゃいます(笑)。しかし、皆さまの時代より、スタンダードラインが、さらに一段階かさ上げになることと、医学部入学後に要求される英語レベルがさらに高くなることを考えると、早めのスタートが必要になります。

「英語ができる」から、「英語で考え、英語で自己表現」するレベルが要求されるのです。

 

情報収集は親の役割

こうした大きな流れを俯瞰して見通していくのは「子どもには無理」な注文だということは、前述しました。そのため、親の情報収集が最重要となってきます。それでは、どこで、誰から情報収集すればよいのでしょうか? 私も仕事柄、さまざまな教育者に今回の教育改革について質問を投げかけるように努力しているのですが、意識にかなりバラツキがあるようです。

一番、意識が高く、危機感を持って臨んでいるのは「私立中高一貫の進学校」です。なぜなら大学合格実績が自分の中高一貫校の入学実績に直結するからです。そして、現在は中堅校の位置づけであっても、今回の教育改革を踏み台にして、大学合格実績を上げて、一気にトップ校に躍り出るチャンスと捉えているからです。新試験制度で問われる「思考力・判断力・表現力」を伸ばすために、「アクティブ・ラーニング*」を導入するなどの改革に舵を切っている学校も増えています。

*:教員が講義形式で一方的に教えるのではなく、学生たちが主体的に、仲間と協力しながら課題を解決するような指導・学習方法の総称。グループワークやディスカッション、体験学習、調査学習なども有効とされる。(出典:朝日新聞「コトバンク」

それと比べると「公立高校・中学」の現場は、「まだまだ、それどころではありません!」という声が多く聞かれます。大学受験の改革に伴った高校の教育課程の改定について情報が下りてこないのが現状なのです。そうした状況から見ても、「私立と公立の格差」は、残念ながらさらに広がる予感がいたします。

学習塾も遠い先の展望に対する意識度は低いように感じます。最先端ともいえる中学受験進学塾であっても、「目の前の中学受験が変わっていけば、塾の方針も変えていかねばなりませんね!」という受け身のスタンスのようです。

これほど、不透明な状況においては、親が「わが子はどのような将来を生きていくのか?どのような能力を身に着ければ、次の時代を生きていけるのか?」を的確に読み取る必要があるのです。

もし、今、小学校入学前のお子さまであれば、さらに次世代の受験制度かもしれません。このコラムで「英語が重要です!」などとお話ししていても、10年先には自動翻訳機がさらに進化すれば、外国語など勉強する必要が無くなるかもしれません。

それほど、これからの変化はスピードが速いということです。

 

医師の仕事でも、変革は待ったなし

このコラムをお読みいただいている方々は、わが子には、消滅する可能性が最も低い職業の筆頭である「医師」になってほしいと潜在的に望んでいるのだと思います。

しかし「医師」だったら安泰なのでしょうか?

医療の世界も大きく変化します。例えば、ちょっとした不調であれば、病院に行かなくても、家からモニター越しにドクターロボに症状を話せば、ドローンが薬を届けてくれるようになるでしょう。簡単な手術は医療ロボットが行い、人間にしかできない難しい手術であっても、名医がモニターを見ながら遠隔手術をすることになるかもしれません。

現在でも、患者から採取した臓器・組織・細胞などを調べて病名を突き詰める「病理検査」では、人工知能が圧倒的に優位と言われています。

医師の大事な役割である研究論文の作成も、データを解析して結果を論文にまとめて学術雑誌に投稿するところまでのすべての作業を、人工知能が人間の介在なしにできるようになるでしょう。医師が半年かけて1本の論文を書くのに対して、人工知能は1時間に1本の割合で論文を仕上げられるだろうとも言われているのです。

つまり、医師になった後に必要となるスキルもまた、これまで求められてきたような「認知スキル」ではなくなる可能性があるのです。

このような、不確定な時代だからこそ、親が子どもにしてあげられることは何か。

それが、社会の流れをつかみ、社会が求めるスキルを身に着ける環境を用意してあげること。時代を生き抜くために必要な「非認知スキル」を伸ばしてあげることなのです。

次回は、この“非認知スキル”は、「いつ、どうやって身につくのか?」についてお話しいたしましょう。

 

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藤崎 達宏(ふじさき・たつひろ)
NPO法人 横浜子育て勉強会 理事長。
1962年横浜生まれ。外資系金融機関に20年間の勤務を経て独立。4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した個別相談会「お父さんもいっしょに幼稚園選び」のほか、全国の企業や団体などで子育てセミナーを行う。最近では各医師会や医師協同組合での講演を多数実施。取得資格は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定教師(0~3歳)/国際モンテッソーリ協会認定教師(3~6歳)。最新著書に『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』(10/23発売)。
『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』
著者:藤崎達宏
発行所:三笠書房
発行日:2017年10月23日 初版第1刷

内容:
「子どもってすごい!」
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子どもには子どもなりの理由があるのです。
大事なのは、子どもがいつどのような力をつけていくかという「成長サイクル」を親があらかじめ「予習」しておくことです!

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