勤務医にもできる! 節税ノウハウ
今回からは「医師が得する"お金"のハナシ」とタイトルを変更し、給与だけでなく医師に関わるさまざまなお金について、お役立ち情報をご紹介していきます。
第1回のテーマは「節税」。
収入は多くの医師にとっての関心事ですが、収入が高くなればなるほど支払う税金も多くなるのが悩みの種。せっかく稼いだお金なら、税金を必要以上に払わないように、少しでも工夫したいものです。
そこで今回は、医師にできる節税策をご紹介します。
節税の基本は「所得控除」
徴収される税金でもっとも大きいのは「所得税(個人所得税)」ではないでしょうか。
所得税とは個人の所得に対して課される税で、高所得であるほど税率も高くなります。そのため、所得税を抑えることが節税の基本となります。
所得税には給与所得控除や配偶者控除など、さまざまな控除の制度があり、所得の額面から控除額を除いた分が課税対象となる「課税所得」です。所得税を減らすためにはこの課税所得を減らす必要があり、一定の所得の中で課税所得を減らすためには、控除額を増やせばよい、ということになります。
<所得税控除の種類>
基礎控除、給与所得控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、住宅ローン控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除 など
基礎控除や給与所得控除のように、勤務医の場合に控除額が自動的に決まってしまうものについては節税のしようがありません。しかし、中には以下のように節税策をとれるものもあります。
(1)医療費控除
保険医療費の自己負担額が10万円を超えた場合に、最大200万円分まで控除対象となります。同居している配偶者や親族の医療費を合算することができ、通院のための交通費(電車やタクシー)も含めることができます。家族が入院した場合など、領収書は必ず取っておくようにしましょう。
(2)住宅ローン控除
金融機関から住宅ローンを借りて住宅を購入した場合に適用される控除で、年末時点でのローン残高の1%が控除対象になります。控除の上限額は借り入れをした時期によって異なります。
住宅ローン控除を受けるには、年間の合計所得金額が3,000万円以下、住宅ローンの借入期間が10年以上など、いくつかの条件を満たす必要があります。
(3)生命保険料控除、地震保険料控除
生命保険料金は最大12万円まで、地震保険料は最大5万円までが控除の対象になります。
(4)特定支出控除
業務に伴う通勤費や転居費用、資格取得費や図書購入費、衣服費、交際費を個人で負担し、その合計額(特定支出額)が一定額以上になった場合に適用できる控除です。確定申告をすることで、特定支出額のうち一定額以上の分を控除対象とすることができます。
(5)寄附金控除
国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」を支出した場合には、所得の控除を受けることができます。最近では地方自治体に納税することでその地方の特産品などがもらえる「ふるさと納税」が注目されています。
年末調整の際に控除の申請をする、または確定申告をすることで、控除対象分の税額が「還付金」として戻ってきます。
大がかりな節税策
各種の所得控除を利用する以外に、不動産を所有する、法人を設立するといった方法で、節税を図ることもできます。
(1)不動産投資
不動産を所有することで、そこから発生した赤字を黒字の所得と相殺し(これを「損益通算」といいます)、所得の額を引き下げるというものです。所得の額自体が少なくなるので所得税も少なくなります。ただし不動産取引は高額になりがちで、大きなリスクを伴うため、注意が必要です。
(2)法人設立
会社を設立して、勤務先からの報酬の一部をその会社の収入として受け取るという仕組みです。これにより勤務医では経費にできなかった領収書などを経費として扱えるので、節税効果が期待できます。
ただし、これを実行するには勤務先の了承が必要となります。また、設立した法人の収入が「何に対しての収入」なのかを明確にすることも大切です。
法人運営をしっかり行わないと、税務署から「単なる節税目的の法人では?」と疑われ、あとから指摘されるため注意が必要です。
※掲載されている内容は2015年8月7日時点の情報に基づき作成しています。
(文・エピロギ編集部)
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コメント一覧(1件)
1. さん
法人で医師としての医療業務に対する報酬をもらうのは労働者派遣法違反ではないでしょうか?