第1回 医師家庭の3つのパターン
藤崎 達宏 氏(子育てコンシェルジュ)
はじめまして! 子育てコンシェルジュの藤崎達宏と申します。この度、『わが子が「医師になりたい!」と言い出した時のために。』というタイトルでコラムを書かせていただくこととなりました。
私は子育てのコンシェルジュとして、これまでに2,000組を越えるご家庭の個別相談をさせていただいてまいりました。中でも、医師家庭からのご相談が多く、その内容は「わが子を医師にするには、幼少から親はどんな準備をすればよいのでしょうか?」という切実なものでした。
現在はそのような経験を支持いただき、全国の医師会、医師協同組合でお話をさせていただいております。そうした講演会でお会いできていない医師の皆様に、このコラムを通して私の知見を全力でお伝えしてまいります。どうぞよろしくお願いします。
親の期待度はさまざま!
多くの医師家庭からご相談を受けてきて私が感じることは、ご両親が育ってきた環境や、今置かれている立場によって「わが子を医師にしたい熱意」はさまざまだということです。ザックリ分けると、下記の3つのパターンになります。皆様もご自分に当てはめてお考え下さい。
パターン1)開業医師家庭 ⇒ 医師にしたい度No.1
代々開業医師家庭で、ご自分が既に開業している、もしくはいずれは開業医院を継ぐ立場にあるケース。一族の暗黙の了解で、医学部への期待とプレッシャーがかかります。親自身も高い教育を受けてきたので、子どもにもそうした環境を与えたいと考えている。しかし、自分があまりにも強いプレッシャーの中で医師になったので、「わが子には、同じ思いはさせたくない」と思うケースも多いようです。
資金的な余裕もあるので、国公立でなくても、私立医学部でも良いから、なんとか医学部へというご相談ケースが多いようです。
★加えて、お嫁さんが医師ではないケースでは、医師一族のプレッシャーを一心に受けることとなり、「医師にしなくては度」がMAXになります。
★お子様が多数いる場合では「長男だけはぜひ!」というケースも、いまだに多いようです。
パターン2)勤務医師家庭 ⇒ 医師にしたい度 No.2
自分の親も勤務医師で自分も勤務医師というケース。「わが子にも適性があれば、ぜひ医学の道を歩んでほしい」と考えるご家庭が多いようです。
★大学の格付けに厳しく「国公立医学部にぜひ」というご相談が多いのはこのケースです。
パターン3)初代勤務医師家庭 ⇒ 医師にしたい度ミディアム?
一般家庭の出身で、自らが医学への強い欲求に突き動かされた、もしくは、勉学に励んで頂点を目指したらそこが医学部だったというケースです。中には奨学金などで、資金的に苦労した方も多いようです。自分の場合は、医師になりたい動機が自然発生的だったので、わが子にも「子ども自身が志すのであれば、やぶさかではないが、他の業種でもかまわない」というのが多いのがこのケースです。
親ができることは、「最大限の準備」だけ
いかがですか?ザックリ分けしてしまいましたが、「あ~、まさにわが家はこのパターンだ」という方もいれば「俺は違うけどね?」という方もいらっしゃると思います。しかしながら、どの家庭環境であっても、「わが子が自分から医師になりたいと言いだしたら、大いに応援してあげたい」さらに「医学部を目指せるだけの学力を付けられる教育環境は、準備してあげたい」ということでは共通しているのではないでしょうか。
そもそも「医学部を目指すかどうかは、本人が決めること」です。
いくら、わが家は代々医師家系だといっても、適齢期になった時に「俺は医学部なんか行きたくね~んだ!」と言い張っているわが子の、首根っこをつかんで無理やり受けさせるわけには行きませんし、自分自身の強い志なしに務まるような職業でないことは、皆様が一番ご存知だと思います。
では、親には何ができるのでしょうか?
「わが子が自分から医学部を目指したいと言い出す時までに、最大限の準備をしておく」
ということではないでしょうか?
ご存知のとおり、現在の医学部人気は凄まじいものがあります。目指しているのは皆様のような医師家庭だけではありません。歯科医師家庭、医療従事者家庭は元より、一般家庭をも巻き込み、まさに「猫も杓子も医学部志望」という時代です。
次回以降、わが子が医学部を目指したいと言い出した時のために、
- ・医学部の学費と偏差値との関係!
- ・2020年の教育改革と親の準備!
- ・幼少期からのコースマネジメント!
- ・わが子の年齢ごとのメンタルの変化!
など、様々な角度からフォーカスし、わが子のために親ができる可能な限りの準備をお伝えしてまいります。
どうぞご期待下さい。
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- 藤崎 達宏(ふじさき・たつひろ)
- NPO法人 横浜子育て勉強会 理事長。
1962年横浜生まれ。外資系金融機関に20年間の勤務を経て独立。4人の子育て経験とモンテッソーリ教育を融合した個別相談会「お父さんもいっしょに幼稚園選び」のほか、全国の企業や団体などで子育てセミナーを行う。最近では各医師会や医師協同組合での講演を多数実施。取得資格は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定教師(0~3歳)/国際モンテッソーリ協会認定教師(3~6歳)。
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